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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

クラブの愛称

欧州のクラブには、百年に及ぶ長い歴史の中で、世代を超えて地元サポーターたちが口にする名称以外のもう一つの呼び名-愛称-があり、国ごとに特色がある。 この初春訪れたシェフィールド・ユナイテッド(当時イングランド・プレミアの下のリーグ所属)は、地元のファンから“The Blades”(刀身)の名で親しまれていた。人口52万人の工業都市シェフィールドは古くから鉄鋼品の産地として有名で、愛称はクラブのエンブレムに描かれる二本の剣に由来する。 スタジアム正面入り口上部には、「The Blades」の文字が大きく描かれている。スタジアム内のバックスタンド全面には、シートを活用して「BLADES」の文字が浮き上がる。 イングランドのクラブの愛称は、大半がエンブレムに描かれたもの,中でも動物に由来するものが多い。

ライオンズ(アストンビラ)、イーグルス(鷲:クリスタルパレス)、フォクシーズ(狐:レスターシティ)、ウルブス(狼:ウォルヴァーハンプトンワンダラーズ)、ラムズ(羊:ダービーカウンティ)、カナリア(ノーリッチシティ)など。ユニークなものとして、ウェッジウッドの町のクラブ:ストークシティは“ポッターズ”(陶工)と呼ばれている。いずれも我がまちへの深い思い入れが表れている。 イタリアでは、代表の“アズーリ”(地中海ブルー)と同様に、ユニフォームのチームカラーで親しまれる。ACミランは“ロッソネロ”(赤黒)、ユベントスは“ビアンコネロ”(白黒)、パレルモは“ローザネロ”(ピンク黒)、フィオレンティーナは“ヴィオラ”(紫)、レッチェは“ジャロロッソ”(黄赤)のように。さすがは感覚的に優れている印象だ。 ドイツのクラブ名には、BVBドルトムント(ボールゲームのクラブ)、VfBシュツットガルト(運動遊戯クラブ)、VfLボーフム(運動同好会)、TSV1860ミュンヘン(体操クラブ)など、都市名の前にスポーツクラブの起源を意味する言葉の頭文字を冠することが多い。

このアルファベットの頭文字を愛称として、地元サポーターがスタジアムの内外で誇らしく口にする。 愛称の存在は、クラブが自分の友人や仲間と同じくらい親しく身近になったことを示す。愛称の“愛”は、愛情の“愛”だ。サポーターによって自然につけられ呼ばれ始める。 Jクラブの愛称が、歴史とともに我がまちを愛するサポーターから自然に連呼される姿を思い浮かべ独りごちる。

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