39節終了後に王手をかけたJ2残留を、2試合にわたって決めることができなかった鳥取。この日の最終節で敗れ、町田が勝つと最下位に落ちるピンチを迎えていたが、ホームで福岡を下し、有終の美を飾って自力で残留を決めた。
試合は立ち上がりに、いきなり動いた。福岡が右サイドに送ったボールを、鳥取DF加藤秀典が下がりながらスライディングで処理したところ、ボールが近寄っていた柳楽智和と入れ替わる形になり、福岡のFW西田剛がフリーに。「良い形でボールがこぼれてきて、コースが空いていたので、感覚で打ちました。イメージ通りのボールが飛んでくれた」と振り返る左足シュートがネットを揺らし、福岡が先制した。開始わずか40秒。柳楽は「頭が真っ白になった」と振り返る。
だが鳥取もすぐさま反撃、福岡のパスミスを突いたボール奪取でリズムをつかんだ。9分には小井手翔太が右からセンタリングを送り、ボールは中央に転がったが、誰も合わせられず。ところが、福岡DF堤俊輔がゴールライン近くで不用意にトラップしたところに、「間に合わなかった、と思っていたら、トラップしてくれたので、ラッキー、と思った」という鳥取MF鶴見聡貴が背後から接近。ボールを奪ってゴールに押し込み、同点とした。
吉澤英生監督が「早い時間で同点に追い付くことができたのが、今日の一番のポイントだった」と振り返った通り、鳥取はすぐに追い付いたことで落ち着きを取り戻した。しかし、ボールを奪うことはできるものの、ゴール前でのプレーが精度を欠き、良い形でのフィニッシュにつなげることができない。
加えて、この日のとりぎんバードスタジアムは強い風が吹いており、前半は鳥取が風下。そのため、クリアなどの不意のロングボールによる福岡のカウンターに苦しめられたが、13分の坂田大輔のシュートはクロスバーに当たり、何とか難を逃れた。前半終了間際には、実信憲明のシュートを、ゴール前で久保裕一がヒールで合わせてコースを変えたが、福岡GK神山竜一の好セーブにあいゴールはならず。
前半を1−1で終え、後半は立ち上がりから福岡がチャンスを作っていたが、62分、福岡の岡田隆が、ゴール前でGK神山からのパスを受けた次の瞬間、鳥取の小井手にボールを奪われ、背後から倒して退場処分に。鳥取は数的優位に立ち、一気に逆転ゴールを奪いたかったが、65分に鶴見のシュートのこぼれ球を、奥山泰裕が押し込んだプレーはオフサイドを取られるなど、なかなか2点目が奪えない。
鳥取は引き分けでも自力で残留を決めることができたが、終了直前、カウンターから美尾敦が左サイドを破ってシュートを放ち、GK神山がはじいたこぼれ球を、詰めていた吉野智行が押し込んで逆転。これが決勝点となり、鳥取がJ2昇格後2度目となる逆転勝利を飾った。
ホーム最終戦での逆転勝利でJ2残留が決まり、とりぎんバードスタジアムは大いに盛り上がった。いきなりの失点から盛り返しての逆転勝利は、チームの精神的なたくましさを示すものでもあるだろう。しかし、最終順位は20位。美尾が「絶対に勝って残留を決めたいと思っていたので、ちょっとホッとした」と語る一方で、「こういう、ぎりぎりの試合をしてしまったのは、自分たちに責任がある」とも話したように、最終節まで残留争いを強いられた苦しいシーズンを振り返れば、改善すべき点は数多くある。
前田浩二前監督が1年でのJ1復帰を目標に掲げながらも解任され、12試合未勝利、18位でシーズンを終えた福岡も、検証しなければならないことは多い。来季の巻き返しに向けて、新たなスタートを切らなければならないことを、あらためて考えさせられる最終節ともなった。
以上
2012.11.12 Reported by 石倉利英
































