F東京と鳥栖は互いに、連戦を考慮して先発メンバーを入れ替えた。新たに前線で起用された選手たちは、誰もが試合後に言った。
「ゴールを意識していた」
そう言葉にして悔しさを滲ませた。
鳥栖は開始2分、左タッチラインから大卒1年目の清武功暉がロングスローを投げ入れる。ゴール前へと飛んだボールはロニの足元に収まる。体でDFをブロックすると、反転してシュートを狙った。しかし腰を回しきれずに、ボールはポストの脇に逸れた。
F東京は14分、東慶悟の右CKをすばやい動き出しでフリーになった李忠成が頭で合わせる。額を離れたボールは枠を捉えきれず。その後の20分、東慶悟が右サイドを抜け出して中央にグラウンダーのボールを入れる。ニアに田邉草民が飛び込むがDFに阻まれてしまう。さらに、22分には長谷川アーリアジャスールが中盤から鳥栖の最終ラインの背後へとボールを落とす。そこに李が走り込んで左足でゴールを狙ったが、ミートしきれず。悔しそうに天を仰いだ。
今度は、鳥栖がやり返す。距離約25mのFKを獲得すると、清武がセットしたボールの前に立った。軽く助走を取ると、右足を振った。勢いよく飛んだ無回転のボールは、GK塩田仁史が弾き返してこぼれ球を加賀健一がクリアする。
スコアレスで試合を折り返すと、64分にF東京の大卒1年目で初先発出場を勝ち取った三田啓貴が魅せた。右サイドからピッチを斜めに横断してパスを呼び込む。そこへアーリアがパスを合わせる。三田はボールをコントロールすると、浮き球を左足で振り抜いた。ボールはGKを抜けてゴールへと向かったが、バーに弾かれて初ゴールとはならなかった。
すると、75分には鳥栖の大卒1年目が突破と前線のコンビネーションで決定機を生み出す。清武がドリブルで中央に切り込むと、ワンツーでシュートコースをつくり、右足でゴールを狙った。これは、ゴールの上を越えてネットを揺らせず。
途中出場したF東京の大竹洋平は、試合終了間際にペナルティエリアのすぐ外からシュートを放つ。力のこもったシュートは枠外へと行き、首を捻った。結局、互いにネットを揺らすことはできず、試合はスコアレスドローで決着した。
鳥栖の清武は試合後、「得点を意識していた。チャンスはあったが決め切れなかった」と、唇を噛んだ。クロスバーに好機を阻まれた三田は「気合が入りすぎた」と言い、李は「得点の気配はある。続けていければ」と話した。左ひざのけがからの復帰戦となった大竹も「復帰戦でゴールを意識していました」と語り、「ここからです」と前を向いた。
彼らのゴールへの思いは届かなかったが、強い試合出場への意志は十分に伝わってきた。それが中盤の激しいボールの奪い合いや、動きの多いゲームにした。
チームを成長させながらリーグ戦、カップ戦の2つを奪いに行く。鳥栖の尹晶煥監督が「カップ戦も昨年以上の成績を収めたい」と話せば、F東京のポポヴィッチ監督は「タイトルを目指す」と公言してきた。11人では、それを成し遂げられない。この日、ピッチに立った新たな選手たちからの思いは両監督にも伝わっていた。スコアレス決着ではあったが、2人の指揮官はともに試合後の会見でで不服そうな顔を一切見せなかった。
以上
2013.03.21 Reported by 馬場康平
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