内容が良ければまだ救いがあるが、主導権を握られ、圧倒され続けての敗戦と、それによるヤマザキナビスコカップ準決勝敗退は川崎Fにとって痛手だった。浦和戦を含めた直近の3試合は、すべて相手に主導権を握られたもの。そのサッカーは風間八宏監督が目指すものではない。ただ、それでも結果が出ていたこともあり、試合内容については見過ごされてきていたところはあった。「この3試合そうだけどいつの間にかここに(自陣に)引いて、そこからサッカーを始める」(風間監督)という状況になっていた。そして浦和戦に先立つ2試合で結果を出せたこともあり、選手たちはその成功体験に乗ってしまっていた。相手が前から来るなら引けばいい、という割り切りがあった。しかし、本来川崎Fが目指すのはもっとレベルの高いサッカーである。だからこそ、ヤマザキナビスコカップ準決勝敗退をきっかけに、チームの意識をもう一度取り戻すことに主眼を置いた練習が行われた。
風間監督はよく「相手に隠れるな」という言葉を口にしてきた。これはパスを受けられるポジションを取ることを選手に要求する際の指示で、自分からボールを貰いに行く姿勢を指す。監督就任以来、絶えること無く続いてきた基礎練習により、選手の体にその感覚は意識は染み付いている。ただ、それは意識しなければ出ないものでもあり、それがここ3試合は消えていたという。
そこで行われたのが7対4のいわゆる鳥かごである。練習の詳細は省くが、オニによる守備を避け、ボールを持つ味方に対して常に顔を出す動きを繰り返すことでパスコースを作り、オニを動かしてより有利な局面を作ろうというもの。小林悠はこの練習について「前にできていたことがだんだんいろいろな情報が入ってきてできなくなっていた。それをもう一度思い出すじゃないですが、そういう意識付けという意味でいい練習だったと思います」と振り返る。では「前にできていたこと」とは何かというと「みんなでどこにボールがあっても顔を出してボールを受ける」意識であり動きなのだと森谷賢太郎。風間監督が就任してすぐの頃にまず教えていた基本的な理念であり、その段階をすでにマスターしていただけに、改めてその意識を思い出させる練習は、逆に新鮮だった。
そんな準備をして迎える東京V戦は、中村憲剛が欠場する事になりそうだ。ヤマザキナビスコカップ準決勝の浦和戦で痛めた腰痛が思ったよりも悪いようで、14日の全体練習にも姿を見せず、2時間の治療の後、クラブハウスを後にしている。その中村が欠場した27節の名古屋戦は、中村のポジションに矢島卓郎が入り、大久保嘉人との2トップにシステムを変更して試合を行っている。常々「システムではない」と話してきた風間監督は、この試合でもシステムそのものの変更も視野に入れた準備が進んでいる。稲本潤一をアンカーに起用した、4−3−3の並びで試合をスタートし、攻撃時に両サイドバックを高めの位置に押し上げるというコンセプトが試されている。
アンカーを置くシステムは、シーズン当初に用意していたもので、当時も稲本潤一がそのポジションに入っていたという点で、実はチームには馴染みがあるもの。現在のシステムとは出場選手は異なるが、風間監督の元で複数の役割を経験してきた選手が揃っており、極端に難しい戦いになることはなさそうである。
ヤマザキナビスコカップを敗退したことにより、チームのターゲットはリーグ戦とこの天皇杯に絞られている。そんな東京Vとの最後の対戦は2008年の最終節でのこと。降格の危機にあった東京Vに対し、川崎Fが2−0で勝利した試合だった。東京Vとすれば、あの敗戦もあってJ2に降格し、それ以来J1に復帰出来ていないという悔しさがあるはず。そんな東京Vは、J1昇格を目標に三浦泰年監督を招聘し、シーズンを戦ってきた。三浦泰監督は北九州を率いて好成績を残しており、その手腕に期待がかかったがここまで36節を終えて勝点51の11位とプレーオフ圏内には届いておらず、苦しいシーズンが続いている。
東京Vの基本フォーメーションは3−5−2で、川崎Fでも愛された森勇介が右のWBとして出場。同じく川崎Fに在籍経験のある飯尾一慶も前目の中盤としてプレーしている。攻撃的な選手としては、巻誠一郎が5試合連続出場中で2得点を奪う活躍を見せる一方、アカデミーからの昇格組である19歳の中島翔哉といった新鋭が結果を出すなど、年齢構成に幅のあるチームとなっている。なお、ストライカーとしてここまでのリーグ戦で10ゴールを奪ってきた高原直泰は、J2リーグ愛媛戦での退場のため、この試合は出場停止となっている。
川崎Fの直近の試合をチェックすれば、前からの守備がある程度の効果を残すことは明白であり、そうした戦いを挑んでくることは予想の範囲内である。厳しいプレスによって川崎Fを自陣(川崎Fの陣内)に押し込み、攻撃を連続させることができれば勝機もあるだろう。ただ、川崎Fは前述の通りそうした前からのプレスを受け流し、ボールを前に運んで相手陣内に入れるような練習を行っている。そしてそれが成功した場合、東京Vの前からのプレスは諸刃の剣となる。
豊富な運動量とある程度の1対1の守備能力が必要な前からのプレスが難しければ、自陣に引いて守るというやり方もある。湘南や鳥栖がやってきたこの作戦は、パスを繋ぐ川崎Fのプレースタイルを考えれば十分に効果的で、実績も残している。前から行って裏を取られるよりも、確実に試合を進めることが可能で、カウンターの機会も増やせる。三浦泰監督がどのような作戦を採用するのかは分からないが、川崎Fとすれば東京Vの出方を見極め、それに対応した戦いをしたいところだ。
ちなみに引いて守る相手には、ミドルシュートとよく言われるが、それを決めてきた大久保嘉人は14日の練習後、居残りでシュート練習を繰り返していた。その理由について「天皇杯のボールがちょっと違うんよ。Jリーグの(ボール)と比べて超重くて」と話し「重いと落ちたりしない。だから落とそうと思ったんだけど、全部そのまま行ってた」と述べている。ただ、そうした特徴のあるボールについても「それは始まったら関係ない」とゴールへの意欲を見せていた。
いずれにしても、川崎Fとすれば確実に勝利したい一戦である。ヤマザキナビスコカップ敗退を教訓に攻撃的なサッカーに立ち返ることができるのかどうか。そして、ホーム等々力のサポーターに勝利の歓喜をもたらすことができるのかどうか、期待したいと思う。
以上
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現在(15日14:12時点)の状況は、川崎F 17220票 vs 1186048票 東京V
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2013.10.15 Reported by 江藤高志
今日の試合
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