FC東京はこの試合の4日前にもホームでリーグ戦を消化。互いに退場者を出すゲームとなったが、ディエゴ オリヴェイラの鮮やかな2ゴールで札幌を下し、負けなしを『5』に伸ばした。この結果に長谷川 健太監督も「非常に大きな勝点3」と選手たちを称え、「成熟してきたことが傍から見て取れた」とチーム力にも手ごたえを示した。王者との決戦に向けて良い状態にあると言えるだろう。
対して川崎Fの前節は鳥栖と対戦。今季好調な相手にゴールを奪うまで多少の時間を要したが、相手が1人少なくなったことで生まれたスキを見逃さずに遠野 大弥が“等々力初ゴール”となる決勝点を奪い、手堅く勝点3を勝ち取った。目下、8ゴール無失点の3連勝中と勢いに乗った状態で敵地に乗り込むことになる。
互いにJ2にいた1999年からこの伝統の一戦は始まり、“多摩川クラシコ”の愛称が定着し始めた2007年から戦いは本格化。昨季までの対戦成績はFC東京の10勝9分17敗。今回で37回目を数える“多摩川クラシコ”の歴史を振り返っても川崎Fが優位に立っている。
特に近年、FC東京は川崎Fに圧倒され続けてきた。長谷川監督が就任した2018年以降の成績は1勝1分4敗と大きな差をつけられ苦汁をなめてきた。2018年の明治安田J1第13節で橋本 拳人と森重 真人のゴールにより勝って以降は勝利がなく、奪った得点もたった『1』。さらに味の素スタジアムでは0-2(2018年第33節)、0-3(2019年第19節)、0-4(2020年第3節)と大敗の連続である。その間に川崎Fはリーグ連覇やカップ戦優勝など多くのタイトルを獲得。青赤に関わる人たちからすると、あの水色のユニフォームは宿敵中の宿敵と言っていい存在だろう。
ただ、今回もそうなるかと言われればそうはさせない。FC東京からしたら、例年以上に今季の“多摩川クラシコ”はなんとしてでも勝たなければいけない戦いとなる。開幕前、チーム全員が口をそろえて「目標はリーグ優勝」と公言。その悲願を目指す以上、王者・川崎Fは叩かないといけない相手であることは誰もが分かっている。
百戦錬磨の長谷川監督がどんなプランを用意してこの一戦を迎えるかはキックオフの笛を待たないと分からないが、1つ参考になりそうなのは昨季のJリーグYBCルヴァンカッププライムステージ準決勝での戦い方。FC東京は集中した堅い守備からセットプレーと速攻でゴールネットを揺らし、押し切った。川崎Fの破壊力を前にその再現が簡単にいかないことは重々承知であるが、割り切ったときの強さは“健太トーキョー”の真骨頂であり、多くの選手たちがその味を覚えている。
お互いがお互いを意識する相手であり、リーグ優勝を成し遂げるためには必ず倒さないといけない相手。今季が終わったとき、1つのターニングポイントの一戦となることは間違いない。
[ 文:須賀 大輔 ]
