いきなりのことで心の整理がつかないファミリーの方々も多いかもしれない。ただ、鳥栖戦でファミリーのみんなが望むことは勝利して川辺を送り出すことであるに違いない。
今年は日本代表でも川辺とともに活動してきた佐々木 翔は、鳥栖戦を前に思い出を振り返りながら、成長した川辺が渡欧することを喜んでいた。
「僕がこのクラブに入ってきたシーズンに駿は磐田に移籍するんですけど、一緒にキャンプを過ごしているんです。そのキャンプで駿と(現在甲府に期限付き移籍中の野津田)岳人を見て、『広島のユース上がりの選手ってこんなにうまいんだ』と驚いたことをよく覚えています。磐田から戻ってきたときも相変わらずうまいなと思いましたけど、そこからさらに良いプレーヤーになりましたよね。うまくて走れる選手から戦える選手になったと思います。一つひとつのプレーの精度が高くて、洗練された選手になったところで良いチームからオファーが来たと思うので良かったなと思います。勝って送り出したいですね」 後輩の森島 司は、別れを惜しみながら話した。
「今までお世話になってきたので、鳥栖戦は駿くんと一緒に良い試合をして勝って送り出したいなと思います。駿くんは技術もありますけど、頭も良い。そういうところがすごいなと思って見習ってきたし、意識も高かったので見習うことはすごく多かったです。本当に駿くんとは長い時間を過ごしてきたので寂しいですし、悲しいですけど、ステップアップしていくことはすごくうれしいことでもある。自分もうまくなってまたいつか駿くんと一緒にできたらいいなと思います」 川辺は移籍を発表した際のコメントの中で、「ジュニアユース時代から数えると11年を過ごしたサンフレッチェを離れること、また生まれ育った広島を離れることに寂しさはあります。でもいまはそれ以上に、応援してくださっている方々に新しい環境で成長した姿を見せたいという気持ちでいっぱいです」と綴っている。
育ったクラブ、生まれ育った広島を離れて新しい挑戦をする決断を下した25歳が、笑顔で別れを告げて次の挑戦に向かっていくことのできる一戦にしたい。
鳥栖は直近3試合で勝利がなく、明治安田J1第19節・横浜FM戦は0-2で敗れた。この一戦では相手のプレスに圧倒され、リーグ戦では今季初となる複数失点を喫したが、金 明輝監督はどのような修正を施すか。前回対戦は0-0のドロー。川辺は「鳥栖は若くてアグレッシブなチームだと思うし、勢いに乗らせてしまうと難しくなると思う。自分たちからアクションを起こしていきたい」とラストゲームを見据えている。
[ 文:寺田 弘幸 ]