今季最初の顔合わせとなった明治安田J1第6節は互いに得点を奪うことができず、スコアレスドローに終わっている。J1では通算3シーズン目を迎える鳥栖と福岡の“九州ダービー”だが、最初のシーズンとなった2016年は鳥栖がシーズンダブルを達成。しかし、2シーズン目となった昨季はリーグ戦、JリーグYBCルヴァンカップ、天皇杯と五度対戦したが、福岡が3勝1分1敗と勝ち越した。ボール保持をベースとした攻撃的なスタイルの鳥栖と、組織化された堅い守備の福岡。好対照ながらともに明確なスタイルを持つ両者だが、昨季からの対戦は福岡が上回っている状況だ。昨季からの六度の対戦で鳥栖が奪った得点はわずかに『2』。リーグ戦での対戦に限れば3試合で無得点となっており、鳥栖としては勝利のために福岡の堅守をどうやってこじ開けるかが大きなポイントになるだろう。
ダービーマッチと言えば、互いのサポーターの対抗意識がいつもと違う雰囲気を作り上げる。しかし、コロナ禍で声援がない中では、選手たちにサポーターの思いを届けにくい。それでも、藤田 直之は「ダービーはサポーターのための試合というか、それくらいサポーターは大事にしている試合だと思っています。もちろん、やっている僕たちも目の前の相手に負けたくないという強い気持ちは変わらないですが、それ以上に長くチームを支えてくれているサポーターの方々はよりそういう気持ちは強いと思います。そういうサポーターの気持ちに応えるには、ダービーでの勝利は絶対に必要。ましてや、自分たちのホームで戦えるので、絶対に勝ちを届けないといけない」と言葉に力を込めている。この思いは福岡の選手たちも同じだろう。コロナ禍という難しい環境の中でどれだけサポーターの思いを背負えるか。それもダービーのカギを握るはずだ。
前節、鳥栖は今季初の逆転勝利を飾っている。チームとしてクリアできていなかった課題を1つ乗り越えたが、連勝はまだない。今季初の連勝を達成する上で、福岡という相手、ダービーという舞台は最高のシチュエーションと言えるだろう。対する福岡は多数の新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た影響もあり、今季初の3連敗中と苦しい状況にあるが、ダービーでの勝利は流れを一変させる良薬になるはずだ。
今節唯一の金曜開催で、両サポーターのみならずJリーグファンの注目を集める戦いになるだろう。一つひとつのプレーにいつも以上の熱量が込められるのは必至。「背負うものが大きくなる」(川井 健太監督)一戦で、サポーターの思いに結果で応えるのは鳥栖か福岡か。
[ 文:杉山 文宣 ]
