互いに最高の状態でこの一戦を迎える。横浜FCは明治安田J1第27節、柏をホームに迎えた“シックスポイントマッチ”で手痛い敗戦を喫した。失点を恐れるあまりに守備ラインを下げ、慎重を通り越して消極的な戦いをしてしまった。その反省から、以後の5試合はしっかり中盤でブロックを構え、相手がボールを下げたときなどは「(前からプレスに)行くときは行く」(岩武 克弥)ことを徹底した。そこから5試合で2勝1分2敗と、大幅に勝点を積んでいるわけではないが、明らかに内容は向上。ボールを奪ってからのカウンターとともに、引き込んでから相手守備ラインの背後を狙う攻撃が機能し、前節は鳥栖に3-1で完勝した。第11節から3バックに変更し、堅守速攻に舵を切ってから半年かけて、ようやくその戦い方における完成形に近づいてきた感がある。
一方、第7節から15試合勝ちなしで最下位に沈んでいた湘南だが、第27節からの6試合で4勝1分1敗とハイペースで勝点を積んでいる。もともと今季は攻撃力アップを掲げ、勝てない時期にも1試合平均で1点近くは取れていたが、夏の中断期間にチームの原点であるアグレッシブな守備を見つめ直した結果、ここ6試合は完封3回の4失点。攻撃では7得点と安定した戦いができている。特に大橋 祐紀が4試合連続ゴール中と乗りに乗っており、横浜FCにとってはまずここをいかに抑えるかがポイントになる。
因縁の試合でもある。2年前の第33節、勝点25で19位の横浜FCは、勝点28で17位の湘南とアウェイで対峙した。その年のJ1は20チーム制で降格枠は4つ。開幕から13試合勝ちなしで最下位に沈んでいた横浜FCは第31節、第32節と連勝して、残留圏の16位まで勝点4差に迫っていた。しかし、63分に先制しながら、終盤に2ゴールを奪われて逆転負け。コロナ禍で声出し応援禁止の中、その日の湘南は来場者にハリセンを配っていた。湘南がゴールに迫るたびにハリセンの音が鳴り響き、スタジアムは異様な熱狂に包まれた。その空気に呑まれて試合をひっくり返されると、横浜FCはそこから1勝もできずに降格を迎えた。
“神奈川ダービー”でもあり、チケットは完売。クラブは先着10,000名に応援フラッグを配布し、スタンドを“ハマブルー”に染めて選手たちを後押しする。「サポーターの皆さんの力も含めて、総力を挙げて勝ちにいきたい」と四方田監督。決戦の舞台は整った。生き残りを懸けた戦いが始まる。
[ 文:芥川 和久 ]
