神戸は前節、アウェイで浦和と対戦してドロー。公式戦の連敗を『3』でストップした。ただ、連敗を止めたこと、アウェイで勝点1を挙げたことへの満足感はみじんもなかった。
「自分たちの中で引き分けでOKと思っている選手は誰もいなかった」(扇原 貴宏) 浦和戦の後半は防戦一方に陥り、指揮官は「どういうときにラインを上げてプレスに移行するのか。チームとしての共通認識が大事だった」と指摘し、その全体での確認と修正にすぐさま着手。勝利のみに挑むメンタリティーは、吉田 孝行監督に率いられる昨季の明治安田J1王者が絶えず育んできたもの。チーム全体で修正点を受け止め、練習と試合のサイクルへの真剣勝負を続けている。
また、対角のフィードを起点にセカンドボールを回収する形など、王者の強みを消すための対策を相手がとることも増えてくるのが実際。指揮官は「サコ(大迫 勇也)が対応されればほかがチャンスになるし、自分たちの芯はブレずに、狙いどころを変化させていくことは大事」とも話している。
12日の天皇杯2回戦・富山戦では速攻でサイドを攻略する得意の形に加え、ポゼッションから宮代 大聖が縦パスを入れ、佐々木 大樹が落としてジェアン パトリッキが決める中央突破のゴールもあった。佐々木は「あの崩しができたことはポジティブに捉えたい」と口にする。J1で最も多い1試合平均クロス数を記録する神戸だが、ビルドアップや最後の崩しにおいて状況を捉えた判断力を磨き、新たなバリエーションも持ち込むなど、連覇への道をチーム全体で足並みをそろえて進んでいる。
一方、川崎Fの今季は苦しい時間のほうが多い印象。第2節・磐田戦から3連敗を喫し、第5節・FC東京戦に勝利して連敗を止めても、翌節からは5試合勝ちなしとなるなど、上昇気流をつかみ切れない状況が続いてきた。
ただ、ここへきてようやく川崎Fらしい戦い方が見えてきたのも確かだろう。元来の高質なパスワークを発揮し、イマジネーション豊かに人とボールが連動するさまは、“らしさ”にあふれている。同時に、前節・名古屋戦(2○1)では終盤に失点を喫したものの、相手の攻撃を全員の力でしのぎ切って4試合ぶりとなる勝利を手繰り寄せるなど、勝点3に対する執着心を表現している。今節の神戸戦は良い流れをさらに強固なものとし、シーズン後半戦へ向けた反転攻勢の足がかりにしたい一戦ともなるだろう。
2月のFUJIFILM SUPER CUPでは、48分にファンウェルメスケルケン際がゴールを挙げた川崎Fが1-0で勝利したが、今回はどうか。攻守に“前へ”仕掛ける高強度の神戸が川崎Fのパスワークを沈黙させるか、川崎Fが素早い攻守の切り替えで神戸からスピード感を奪い、ピッチを支配するのか。質とハードワーク、勝利への執念が交錯すること必至の好カード。サッカーの面白さをダイレクトに体感する時間が国立競技場に到来する。
[ 文:小野 慶太 ]


