神戸の直近節は、今季初めてリーグ戦で歓喜に酔った1日となった。ホームに5位と好調の鳥栖を迎えて戦い、開始わずか2分でアンドレス イニエスタが先制ゴールを奪う幸先の良いスタートを切る。さらに汰木 康也が神戸加入後のリーグ戦では初となるゴールを挙げて突き放し、後半には武藤 嘉紀、大迫 勇也といった役者もしっかりと得点を挙げた。終わってみれば4-0の圧勝となり、開幕以来、ようやくリーグ戦で初の勝点3をつかみ取った。
戦術的にも狙いを体現してみせた。前線から激しくプレッシングを仕掛ける相手の勢いをうまく利用。ひっくり返す配球も駆使しながら敵陣のスペースを効果的に突いた。1点目のアンドレス イニエスタのゴールを巻き戻せば、敵FWのプレスを外すように、アシストした酒井 高徳へとフィードを送った小林 友希の左足キックがスタートだった。さらに、2点目は相手のアンカーに鋭くプレスを掛けてボールを奪った武藤が出発点となっている。ロティーナ監督の下で準備した攻守の狙いを体現したのは見事だった。
もちろん、収穫ばかりではない。指揮官が「こちらとしてはリトリートせざるを得ない、守らなければいけない時間が多かった」と振り返ったように、前半途中からは鳥栖のポゼッションに圧倒される苦しい展開が続いた。それでも耐え抜いたことはポジティブだが、ボールポゼッションでゲームを支配していくことを理想とする中で、まだまだ成長していくべきことが多くあることも確かだろう。初勝利を喜びつつも、小林は足元を見つめた。
「まず勝てたことにホッとしているけど、僕らは今年の最初に『タイトルを獲る』という目標を立てた。12試合目になるが、初めて勝った中で順位表を見ると下だし、厳しいことに変わりはない。ここから一試合一試合、勝点を重ねていかないと上に昇っていくことはできない。まだまだ満足できるような結果ではないし、チームとしてここから勢いに乗っていけるように準備していきたい」 そんな慢心を排除する神戸が対峙するのは、川崎F。言わずと知れたJ1の絶対王者。マレーシアで開催されたACLグループステージでよもやの敗退を喫してしまったが、洗練されたポゼッションワークや連動したディフェンスは健在で、アクションを起こすパスの積極性も光ってきた。帰国後の初戦となった第12節・清水戦を2-0で制すと、直近の第13節では福岡も2-0で下している。リーグ屈指の守備力を誇る福岡のゴール前をこじ開けた中で、今節は鳥栖のアタッキングを完封した“ロティーナ流ゾーンディフェンス”の攻略に挑むことになる。
[ 文:小野 慶太 ]
