「本当に完敗です」。湘南の山口 智監督は前節終了後の会見でそう認めた。
ボール保持に長けた新潟に対して準備してきたハイプレスが、相手の好パフォーマンスを下回ってしまい、空転。8分と早い時間に先制を許したこともあり、前線の選手は多少無理をしてでもボールを取りにいったことで中盤にスペースが空き、そこを相手にいいように使われた。さらに、疲労も普段以上に溜まって守備時のスライドやラインのプッシュアップも繊細にできなくなってしまい、強みを何も発揮できなかった。
「うまくいかないときに、どこが問題かを見て選手同士で話し合って『このやり方のほうが』と(修正を)していましたけど、それが足りなかった。あのときは自分のプレーにいっぱいいっぱいでした」(キム ミンテ) 戦況や相手を見て、都度判断をしていくことがチーム全体として不足していた。
試合の中でうまくいかないことは出てくる。前節で言えば、ハイプレスがハマらずに中盤のスペースをいいように使われていたため、ミドルプレスに切り替えてラインのコンパクトさを保つことも1つの策だった。監督から指示を直接的に受けられる機会は基本的にハーフタイムしかないため、ピッチ上の選手が柔軟に対応する力をつけなければならない。
状況を常に見ることは、攻撃面でも言える。今週のトレーニングでは、阿部 浩之が平岡 大陽に対してアドバイスを送る一幕もあった。
「ボールの受け方とか(ゲーム中に)左の畑(大雅)との連係で、『周りと関わりつつ、自分の良さを出せる場面があったんじゃないか』と言ってもらいました」(平岡) 「(シチュエーションにもよるが)三角形で2対1の状況を作られるのは、相手はイヤだと思う。それをしながら、自分も助けてもらえるようなポジショニングが大事」(阿部) 「大陽に限らずおのおのがそれをできれば、絶対に良いサッカーはできる」と阿部は周りを見ることの大切さを説く。
チームの戦術という大枠はあるが、その中で「いまはこういう状況だから、こうしよう」と判断ができれば、より勝率を高くすることはできるはずだ。
一方のC大阪は前節、神戸と対戦した。「0-0の時間を長くしながらわれわれが主導権を握る」(小菊 昭雄監督)プランの下、5バックにシステムを変更。しかし2分、11分に失点を喫し、その計画は崩壊。後半になってレオ セアラが1点を返したが、1-2で敗れている。
用意したものをそのまま出せなかったとしても、そのまま崩れずに立て直すことが大切であるという教訓を得た。
「現状を変えるためには、選手自身がピッチで表現するしかない。厳しい状況ですが、少しでも、小さいことから変えていかないと」と西尾 隆矢が話すように、自分たちでピッチ上、そして結果を変えていくしかない。
[ 文:舞野 隼大 ]
