3試合ぶりにホームでの戦いとなる鳥栖は前節、東京Vと対戦。19分に直接FKから先制点を許すが、以降は主導権を握って相手ゴールに迫る。しかし、ゴールを奪うだけの精度に欠けると、81分にはCKの流れから失点。結局、最後まで得点を奪うことができずに零封負け。これで5連敗となり、最下位から抜け出せなかった。
対する福岡は前節、アウェイで磐田と対戦。両チームともに球際の局面で気迫を見せ、激しさが強調される展開となったが、守備の局面で見せる堅さを打ち破るだけの攻撃の精度をお互いに発揮することができずにスコアレスのまま、試合が推移。終盤に差しかかると、福岡は残留争いで優位に立つために降格圏内に位置する磐田に「相手に勝点3を与えない」(長谷部 茂利監督)意識を強める。そのまま試合をクローズすることに成功し、勝点1を持ち帰った。
今節は勝利だけが求められるダービーマッチだが、現状はともに苦しい。鳥栖は8月上旬に川井 健太前監督との契約を解除し、新たに木谷 公亮監督が就任。守備の立て直しを図ったが、監督交代後は全6試合で先制を許し、失点が続くなど成果として表れていない。リーグ戦では9試合未勝利となっており、降格の危機が迫っている。一方の福岡も明治安田J1第21節・FC東京戦での勝利を最後に10試合未勝利と長いトンネルに入ってしまっている。堅守をストロングポイントとするチームながら、第22節・京都戦から失点が9試合続いていたが、前節で久しぶりにクリーンシートを達成。しかし、ここ10試合で6得点と得点力は継続の課題となっており、攻撃陣の奮起が求められる。
長い歴史を持つ“九州ダービー”において、近年は鳥栖が劣勢を強いられている。福岡がJ1に再昇格した2021年以降、対戦した公式戦10試合での成績は1勝4分5敗。鳥栖が挙げた勝利は2021年の天皇杯3回戦での一度のみ。前回対戦でも0-2で敗れており、その間で挙げた得点はわずかに『3』と、福岡の堅い守備の前に苦杯をなめさせられてきた。
今回、指揮官として初めて“九州ダービー”に臨む木谷監督はクラブOBであり、現役時代には選手としてこのダービーを経験している。レベルファイブスタジアム(現在のベスト電器スタジアム)で行われた2010年のJ2第8節・福岡戦では23分にCKから先制点を奪い、完封勝利に貢献。木谷監督はサポーターがアウェイの地で歓喜する姿を目の当たりにしており、このダービーに懸けるサポーターの思いを十二分に理解している。それだけに「アビスパには負けられないというところは意識して臨みたい」と意気込みを語っている。
勝ちから遠ざかっている両者だが、勝利を希求する思いをさらに熱くするためにもライバルとの対峙は最高のシチュエーションだろう。勝利だけを求めるサポーターの思いに結果で応えるのは鳥栖か、福岡か。
[ 文:杉山 文宣 ]
