すでにJ2降格が決定している鳥栖に対して、磐田はまだ残留の可能性を残しており、その成否が今節で決まる。16位の柏、17位の新潟との勝点差は『3』。磐田が来季もJ1で戦うためにはこの2チームのどちらかと勝点で並び、得失点差で上回る必要がある。得失点差も並んだ場合は、総得点数、当該チーム間の対戦成績、反則ポイント、抽選という順によって順位が決定する(※抽選は、降格チームの決定等、理事会が必要と判断した場合のみ実施される)。
最も可能性が高い条件は、新潟が負けた場合だろう。敗れるということは少なくとも得失点差がマイナス1となるが、その場合、磐田は2点差で勝利すれば得失点差で並ぶ。現在の得点数は新潟が『44』、磐田が『47』であるため、総得点で上回る可能性が極めて高い。他会場の経過次第にはなるが、基本的には2点差以上での勝利が残留のための最低条件と言えるだろう。
磐田は前節、FC東京と対戦。53分に先制を許しながらも、80分に同点に追いつき、終了間際に今季限りでの現役引退を発表している山田 大記のPKでの得点で逆転するという劇的な勝利を挙げている。勢いをつかむとともに奇跡を信じるには十分過ぎるドラマを演じてきた。磐田に関わるすべての人たちが“奇跡の残留”を信じているだろう。
そんな磐田に対して、すでに降格が決まっている鳥栖は消化試合のように思われるかもしれないが、そんなことは決していない。
「こっちとしてもグッピーさん(岡本 昌弘)が引退するし、ナオさん(藤田 直之)も引退する。俺個人の感覚としては、磐田さんよりも俺のほうが気持ちは強い。最後、ホームでしっかり勝って2人を送り出したい。だから、これをどれだけウチの選手たちが思えているか。今季は難しいシーズンだったけど、ファン・サポーターの方々が最後まで応援しに来てくれる。ホームで戦えるので、俺たちは勝ってファン・サポーターを喜ばせたい。そう考えると俺たちのほうが絶対に磐田さんよりもパワーが出るはず」 守護神の朴 一圭が言葉に力を込めたように、鳥栖にだって勝たなければいけない理由がある。ベテランとしてチームを支えてきた岡本と藤田の現役ラストマッチにはやはり勝利がふさわしい。そして、降格が決まってもスタジアムに足を運んでくれるサポーターの熱意に応えるためにも、勝利を届けなければならないはず。これはチームとして問われる姿勢ではない。選手個々がどれだけ気持ちを高めることができるか。磐田に対して、モチベーションで上回る部分はあっても下回る部分などあってはならないのだ。
磐田にとってはいまから11年前の2013年、このスタジアム(当時の名称はベストアメニティスタジアム)で鳥栖に敗れ、クラブ史上初のJ2降格が決まった。同じ土地で歴史を繰り返すわけにはいかない。まずは2点差以上での勝利という“人事を尽くす”ことに全力を注ぐのみだ。鳥栖は磐田の熱量を上回り、笑顔でベテラン2人を送り出す。譲れない思いがぶつかり合う激しい一戦は、8日の14時に火ぶたが切って落とされる。
[ 文:杉山 文宣 ]
