「まるでチームワークを忘れてしまったかのように個人プレーが目立った時間帯があり、シンプルなボールロストも多かったと思う」 個人名まで言及しなかったが、マテウス サヴィオがその対象に含まれていたかもしれない。不用意にボールを失うシーンが散見され、本来のクオリティーからすると信じられないほど低調なパフォーマンスだった。
このことについて、渡邊 凌磨は「そう感じるものは少なからずあったと思う」としつつ、「孤立しているのもそう見えるのかなというのはあるので、ちょっと頼り過ぎている。『1人でなんとかしてくれるでしょ』って全員が思うと、個人プレーをしているように見えるのかなと感じた」と周囲にも問題があったと指摘する。マテウス サヴィオの生かし方について自責の念も語った。
「孤立させているからうまくいかないだけで。周りがちゃんとパスコースにいる中でサヴィオがチョイスできればもっと武器になると思う。普通だったらミスしない選手なので、僕にもけっこう非があるかなと思ったし、そういうのをなくしていかないとダメかなと思う」 ここ2試合は、相手に速攻を警戒されてスペースを消され、前進にスムーズさを欠いたことで前線に苦労を強いるシーンが多かった浦和。話題に上がったマテウス サヴィオだけでなく、松尾 佑介も単騎駆けせざるを得ない状況に陥りがちとなり、対応されやすくなっていた。
そうした中で、前節で交代選手の活躍で勝点1を奪取したことは、メンバー固定気味で戦ってきた浦和にとって大きな要素だった。出番に恵まれなかった長倉 幹樹は「(加入後初ゴールを挙げて)ここから勢いというか、さらに活躍できるようにやっていきたい」と意気込んでいる。スタメン組に割って入る選手も少しずつ増えてくると同時に、今節はサミュエル グスタフソンとGK西川 周作がメンバーに復帰してくる可能性もある。
また、石原 広教のクロスをお膳立てした大久保 智明のパスも、得点を奪う上で隠れたファインプレーだった。本人は「(得点に)絡んだうちに入らないかという感じですけど……」と謙遜するが、ドリブルで相手DFを引きつけ、石原 広教をリリース(解放)したプレーは浦和の課題解決にもつながるもの。大久保 智明が言うところの「ちょっとした助け合いの作業」が増えてくれば、ビルドアップや前線の孤立といった諸問題も徐々に解消されてくるはずだ。
一方のFC東京は15位に沈んでいるが、前節・神戸戦では終了間際にPKを獲得して粘り勝ち。今季初の連勝を挙げたことで、勢いに乗って埼玉スタジアム2002に乗り込んでくるだろう。浦和としては、ここ2試合で3得点とようやく本領を発揮してきたマルセロ ヒアンも要警戒だ。
ポゼッションを志向しつつもカウンターに強みがある両者の対戦だけに、ボールと試合の主導権を巡る駆け引きがどのように展開されるかも興味深い一戦となる。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
