「ただの“シックスポイントマッチ”ではない。もういい加減、チームとしても個人としても勝たないといけない」 横浜FCに在籍して5年目、この一戦の重みを誰よりも知る岩武 克弥は、並々ならぬ思いを語る。
同じ神奈川県を拠点とする“緑と青”のライバルクラブとは、J1において二度、シーズン終盤の直接対決を戦い、いずれも1点差で敗戦。2021シーズンは2連勝を飾って逆転残留への流れを作りかけていた中で、アウェイ・湘南戦で逆転負けを喫し、その後1勝もできないまま残留はかなわず。2023シーズンはホーム最終戦で迎え撃ち、相手は勝点2差で降格ラインを挟んで1つ上の順位というシチュエーション。1点ビハインドをひっくり返せずに敗れて厳しい状況に追い込まれ、翌最終節でJ2降格が決まった。
もちろん、この1試合の結果で“何か”が決まるわけではない。それでも岩武 克弥やンドカ ボニフェイスをはじめ、ピッチ上で“絶望”を味わったメンバーにとっては、より一層気持ちがこもる一戦となる。
ただ過去と異なるのは、順位表で自分たちが上の立ち位置で、この大一番を迎えられるということ。7月23日の三浦 文丈監督就任後、自陣ゴール前での守備の堅さとロングボールを活用した戦い方は実を結び始めてきており、「簡単にはやられないチームになれている」と、コーチングスタッフも選手たちも口をそろえる。
前節・岡山戦は、立ち上がりから相手にペースを握られ、試合を通じて決定機を作ることができなかった。それでもタイトな連戦でのアウェイゲームで、90分間ゴールを割らせずクリーンシートで終われたのは、チームスタイルが浸透している証。ここで持ち帰れた勝点1を意味あるものにするためにも、今節は勝利が至上命令となる。
対する湘南は、緊迫感を持ってアウェイに乗り込む形となる。
現在15試合未勝利で19位と苦しい状況にあるが、その原因の1つが失点の多さ。9月に消化した公式戦5試合で見ると、すべてで複数失点を喫している。
前節・川崎F戦を振り返ると、立ち上がりから果敢に攻め込み、立て続けにセットプレーを獲得。結果的には1-2で敗れたものの、川崎Fの長谷部 茂利監督も「前半の入りは非常に苦しい展開だった」と振り返っていたとおり、相手にストレスを与える戦いはできていた。また、2点差をつけられながらも気持ちは折れず、1点を返したこともポジティブな要素だ。
「(ここ数試合は)自分たちがやらなきゃいけないところが、すごく薄れていた。そこに立ち返ろうという話をしている」と舘 幸希が川崎F戦後に語ったとおり、勝利を奪うためにも、失点を恐れて慎重に構えるのではなく、湘南らしいアグレッシブさを貫けるかがカギとなりそうだ。その上で、失点を抑えていきたい。
“三度目の正直”か、“二度あることは三度ある”か──。互いの意地と自信をぶつけ合う。
[ 文:青木 ひかる ]
