ホームの清水は、前節終了時点で10勝10分12敗。第27節・福岡戦以降の5試合を2勝3分と無敗で駆け抜けていたが、前節は3連覇をもくろむ神戸を相手に、終了間際に痛恨の逆転ゴールを奪われ、6戦ぶりの黒星を喫した。
だが、チームの表情は暗くない。なぜならば、直近の数試合では“超攻撃的・超アグレッシブ”なスタイルが鳴りを潜めていた中で、神戸戦は相手陣で攻撃的に過ごすためのトライが見られたためだ。「いまのわれわれは下を見て戦っていません」と断言する秋葉 忠宏監督は、神戸戦について、「もちろんドローで終えたり、勝てるのがベストでした」としつつも、“勝つための選択”を下した結果として、逆転負けを受け入れていると明かす。
「あのまま1-1のドローで良ければ、異なるサッカーを選ぶこともできましたが、われわれがどのようにして(昨季)J2で優勝したのかを思い出しながら、勇気を持って“やろうとしてきたこと”をやってくれた。前からボールを奪いにいく、ラインをぐっと押し上げるといった点で、後半の10分間くらいまではパーフェクトに近いくらいでした。僕の中ではめちゃくちゃ価値のある、未来につながるゲームでしたし、だからこそ、修正しなきゃいけない点、もっと高めなきゃいけない点も分かりました」(秋葉 忠宏監督) チーム全体が手ごたえを得た中で迎えるFC東京戦について、指揮官は「ここから上に行くのか、それとも下に行くのか、そんなことが問われる大事なゲーム」と闘志を燃やす。神戸戦で得た手ごたえを、今度は結果につなげるため、チームは良い雰囲気で準備を続けている。
3バックの一角として存在感を放つ蓮川 壮大にとっては、気合いの入る古巣戦。両チームは今季の第13節で対戦しており、当時は清水が2-0で勝利していたが、試合が行われた味の素スタジアムのピッチに、背番号4の姿はなかった。
当時はアクシデントに見舞われた結果の欠場だった。復帰後はコンスタントに先発出場を続けており、今回初めて、相手チームの選手としてFC東京と対峙する。そんな蓮川 壮大は「(スクールに通っていた)小学校のときからお世話になっているクラブなので、成長した姿を見せたい」と意気込みつつも、即座に「ただ、いまは清水の選手なので、勝ちにこだわってプレーしたい」と言葉を続ける。いまやチームに欠かせない“オレンジの戦士”となった蓮川 壮大の視線の先には、勝点3しか映っていない。
一方で、FC東京は11勝7分14敗の成績で、清水と同じ勝点40を獲得しているが、得失点差で下回るため、現在の順位は13位に甘んじている。
FC東京にとって大きな痛手となるのは、9月23日の第31節・福岡戦のウォーミングアップ中に長倉 幹樹が負傷したこと。6月に浦和から期限付き移籍加入すると、即座に攻撃陣の中心選手に君臨し、ここまでのリーグ戦では4ゴールを記録。数字の面以外でも抜群の貢献度を見せていただけに、左足膝蓋骨骨折による約6週間の離脱は、間違いなく大ダメージだ。
だが、リーグ戦8得点をマークしているマルセロ ヒアンを筆頭に、佐藤 恵允や仲川 輝人ら、多彩なアタッカーはそろっている。清水の住吉 ジェラニレショーンは「前線には馬力とスピードがある選手がいるので、自分たちが個のところで勝るかどうかが大事になる」と、FC東京の攻撃陣を警戒する。FC東京としてはそれぞれの個性をうまく発揮することができれば、攻撃の質を落とすことなく戦えるはずだ。
試合終了の笛が吹かれたとき、IAIスタジアム日本平のピッチで笑うのはどちらのチームとなるか。1ケタ順位でシーズンを終えるため、両チームにとって負けられない一戦となる。
[ 文:榊原 拓海 ]

