福岡の金 明輝監督は湘南戦に向けて、こう話す。「湘南は前節の京都戦(1△1)がそうだったように、追い詰められた状況で振り切った戦いをしてくる可能性もあるし、そもそもわれわれと力の差はないと認識しているので、緩みを見せてはいけない」。気を引き締めた上で金 明輝監督は「ケガ人が戻って、選手起用に幅も出てくるので、選手のキャラクターを踏まえて“勢い”が出るような起用を考えたい。(スコアレスドローに終わった前節の)町田戦でまったくできなかったわけではないが、相手コートでプレーする回数、時間を増やしたい」と、攻撃的なサッカーの展開を狙う。
一方の湘南は非常に苦しい状況にあるが、前節で首位争いを演じる京都を相手に後半アディショナルタイムまで1-0でリードしていた事実は自信にはなるだろう。また、土壇場で追いつかれた反省も今節で生きてくるはず。勝ち続けることで残留の可能性を維持するしかない湘南もまた、今節に向けては福岡と同様にアグレッシブな姿勢で90分を戦い切ろうとするだろう。
福岡には今節が古巣戦となる選手が名古 新太郎、秋野 央樹、ウェリントン、岩崎 悠人と4人いる。中でも、ウェリントンの今回の湘南戦へ向けた思いは強い。「日本でプレーするための扉を開いてくれたのが湘南。しかも二度も在籍させてくれた。いまアビスパでプレーできているのも湘南での時間があればこそ。そういう意味で湘南は自分にとって特別なチーム。だからいまの湘南の状況は寂しく感じる。しかし、いまはアビスパの一員なので、今回は勝つことに集中する。残り4試合のうち、ホームゲームは2試合。今年はサポーターに歯がゆい思いをさせているので、何がなんでも勝ちたい」。37歳だが、持ち前のパワーは衰えることがないブラジリアンストライカーの攻守における働きにはぜひ注目したい。
湘南で注目したい選手の1人が中野 伸哉。左ウイングバックで先発した前節は先制アシストを記録しただけでなく、相手選手の退場を誘う効果的な飛び出しを披露。8月末にG大阪からの育成型期限付き移籍で加入後、存在感を増している。また、福岡には鳥栖在籍時の指揮官だった金 明輝監督、鳥栖U-18からの先輩である松岡 大起がいるため、モチベーションも上がるだろう。その中野 伸哉のアシストにより京都戦で自身4試合ぶりのゴールを挙げた鈴木 章斗も注目選手の1人。京都には勝てなかったが連敗を『7』で止めた一撃は、エースとしてのプライドを呼び覚ますに十分な刺激になったはずだ。
ともに攻撃的な姿勢を前面に出しての熱戦が予想されるゲームは、どんな結末が待つのか。
[ 文:島田 徹 ]


