横浜FMは昨季、開幕から16試合で1勝しかできず、クラブ史上初めてとなるJ2降格の危機に瀕した。二度の指揮官交代を経て6月下旬に就任した大島 秀夫監督が立て直しを図ると、徐々に勝点を拾えるように。9月中旬以降はロングボール主体の割り切ったスタイルにシフトし、最終盤には4連勝を記録するなど、苦しみ抜いた末にJ1残留を果たした。
一方、指揮官は昨季終盤のスタイルについて、「理想ではない」と公言しており、引き続き指揮を執るこのハーフシーズンはスタイル再構築の期間と位置づける。その方向性について、1月の新体制発表会では、「前向きにスピーディーにプレーしてゴールに向かう。相手ゴールまで自分たちが保持することがチームの成長、選手の成長につながる」と明らかにした。
プレシーズン中は実戦でのトライ&エラーを繰り返しながら目線を合わせてきた。宮崎キャンプ最終日の非公開だったトレーニングマッチを念頭に、「成長を感じられたキャンプ最後の試合になった。自分たちがチャレンジしている良いシーンが出る回数は多かったし、逆にそのぶん、意図が合わないシーンがちょっとずつ減ってきた」と一定の手ごたえを感じた様子。その手ごたえを公式戦初戦でより確かなものに変えたいところだろう。
また今オフはリーグ全体の傾向としてストーブリーグが静かな傾向にあった中、鳥栖から井上 太聖、札幌から近藤 友喜、クルゼイロ(ブラジル)からウインガー・テヴィスら即戦力を獲得した。この開幕戦でもテヴィスや井上 太聖は先発の可能性があるだけに、彼らのパフォーマンスにも注目したい。
対する町田のオフは静かで、即戦力の獲得はオーストラリア国籍のテテ イェンギのみ。また、神戸に期限付き移籍していたエリキの復帰も“補強”と言えそうだ。昨季までの主力の流出はなかったが、最前線に入っていたオ セフンやミッチェル デュークが移籍。彼らに代わるターゲットマンの登場がポイントとなる中、テテ イェンギが有力候補になるものの、1月28日に加入が発表されたばかりであり、どこまで町田の戦術理解が進んでいるかは未知数だろう。これらの状況を踏まえれば、タイプは異なるが、動き出しに秀でる藤尾 翔太に期待したいところだ。
黒田 剛監督は2026年を常勝軍団構築に向けての土台作りと見据える中、既存戦力を軸に少数精鋭の新戦力を組み込み、どのように進化させようとしているのか。この開幕戦でその一端がお披露目されそうだ。
[ 文:大林 洋平 ]

