順位の面ではすでに決着がついているものの、開幕戦で相対した両雄の再激突が“消化試合”になるはずがない。開幕戦の因縁だけでなく、目前に迫るプレーオフラウンドや新シーズンへの試金石として、互いのプライドが真っ向からぶつかり合う90分が幕を開ける。
ホームの鹿島は前節、アウェイで千葉と対戦。退場者を出しながらも粘る相手からきっちり勝点3を奪い、首位を確定させたが、チーム内に弛緩した空気は一切流れていない。鬼木 達監督が「選手たちが引き締まっていた。僕が浮かれちゃいけないなと感心しました」と振り返る。鬼木 達監督が設定した高い視座を保ったままJ1百年構想リーグを戦ってきた選手たちは、試合の結果だけでなく内容を少しでも良くしようと努力を重ねてきた。まだまだ思うような試合運びができていないため、勝っても満足しない状況は、プレーオフラウンドをWESTグループ1位と戦うことになっても変わらない。今節がホームゲームであることを踏まえると、その気持ちはさらに強くなっていることだろう。
対するアウェイのFC東京も、最終節に懸けるモチベーションは極めて高い。首位の座こそ鹿島に譲ったものの、シーズンを通して見せてきた爆発的な攻撃力とチームとしての“勢い”は、EASTグループの中でも群を抜いている。直近の試合でも持ち前のタレント力を生かしたアグレッシブなフットボールを展開しており、チームのバイタルは非常に高い状態を維持している。前節はアウェイで浦和と対戦し、多くのチャンスを作ったが決め切れない試合となった。スコアレスのままPK戦になると、13人目までもつれ込む大熱戦を制して勝点2を積み上げた。
FC東京にとって、鹿島をアウェイで破って地域リーグラウンドを締めくくることの価値は計り知れない。開幕戦で鹿島をPK戦の末に破った成功体験は大きな自信となり、シーズン序盤の勢いを生んだ。鹿島がどのようなメンバー構成で挑んでこようとも、持ち前のハードワークと鋭いアタックで真っ向からねじ伏せにいく構えを見せるだろう。それが果たせれば、チームのポテンシャルが首位に勝るとも劣らないものであると証明できる。アウェイのプレッシャーをはね返し、自分たちのフットボールでメルスタを攻略したい。
両チームともに2名ずつFIFAワールドカップ2026出場選手を擁することでも注目度は高い。鹿島からは早川 友基とキム テヒョン、FC東京からは長友 佑都とキム スンギュが、それぞれ日本代表と韓国代表として6月に開幕するワールドカップを戦う。Jリーグから国を代表する選手が選出されたことはうれしいことである反面、代表活動が始まるため、彼ら4人はこの試合のあとに控えるプレーオフラウンドには出場することができない。場合によっては、プレーオフラウンドを見越した選手起用があるかもしれない。
鬼木 達監督は「ここからは全体としての競争」と明言しており、FC東京も同じだろう。誰が出ても同じ戦いができるのか。この試合で問われるものは多そうだ。
[ 文:田中 滋 ]

