そういう状況を踏まえて「絶対に勝ちたい」と力を込めるのは紺野 和也だ。彼が福岡に加入した2023年以降は、広島に一度も勝つことができていない。「今季のリーグ戦も1-2と見た目では惜しいと感じるスコアだったが、内容的にはかなりのチャンスを作られて本当に苦しんだゲーム」と振り返り、さらに「個の能力が高い選手がそろっている上に、長く同じメンバーでやっていることもあってコンビネーションもでき上がっている」と、広島の強さを素直に認める。それでもそんな相手に一矢報いたいという思いから、自身が福岡で一度も味わったことがない広島戦勝利への意欲が高まっているのだ。
紺野 和也を含めて選手たちがこの広島戦での勝利にこだわるのは、しばらく勝てていないからという理由のほかに、9戦未勝利というリーグ戦での苦境脱出の契機としたいからでもある。金 明輝監督も「リーグ戦に向けて良い兆しをこの広島戦でつかみたい」と話すように、強いと認める相手から奪った勝利は、自信回復への何よりも大きな刺激となるはずだ。
その重要な一戦に向けて、今季攻守で安定したプレーを披露している志知 孝明は、広島からの期限付き移籍のため契約の都合で出場できず。さらに前回対戦で意地の1得点を挙げた見木 友哉は直近のリーグ戦3試合でメンバー外となっており、出場は微妙な状況にある。さらにリーグ前節・東京V戦では湯澤 聖人が負傷交代と、欠場者が多く見込まれる状況にあり、金 明輝監督のメンバー選考に制限がかかる状態が続く。
そんな中で「第1戦をホームで戦えるという利を生かして、アウェイでの第2戦に乗り込みたい」と語る指揮官がどんな選手を起用、配置して、どんな戦略によって、喉から手が出るほど欲しい勝利を引き寄せるのか。特に、未勝利が続くリーグ戦のここ9試合で4得点と苦しんでいる攻撃面における策には注目したい。今大会の1stラウンド3試合で2得点を挙げている紺野 和也がゴールを奪うためのキーマンの1人になりそうだ。
一方の広島は5月31日のJ1第19節・川崎F戦で1-2の敗戦。リーグ戦の連勝が『5』でストップした流れで、ルヴァンカップの初戦に臨むことになる。ここで福岡を下して次のラウンドにコマを進める。さらに6月11日の天皇杯2回戦・Brew SAGA戦もモノにし、良い流れを取り戻した上で14日に首位・鹿島とのリーグ次節に臨む、というのが理想的な流れだろう。今季リーグ戦フル出場中のGK大迫 敬介がFIFAワールドカップ26アジア最終予選に臨む日本代表に選出されたことにより、プレーオフラウンドの2試合に出場できないことは不安材料となるが、直近のリーグ5連勝のスタートにもなった相性の良い福岡戦でリスタートを切りたいところだ。
[ 文:島田 徹 ]


