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【J2:第16節 広島 vs 草津】レポート:前からのプレスで広島を驚かせた草津。しかしセットプレーを活かした広島が4連続完封勝利(08.05.26)

5月25日(日) 2008 J2リーグ戦 第16節
広島 1 - 0 草津 (16:04/広島ビ/9,357人)
得点者:44' 槙野智章(広島)
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「低い位置でボールを奪っても、ゴールは遠い。だったら、高い位置でプレスをかけろ」
 草津・植木繁晴監督の攻撃的な意志は、選手にしっかりと浸透していた。試合前の予想とは違った対広島戦用の戦術に、紫の戦士たちは確かに戸惑っていた。

 草津は今季、試合毎に布陣やメンバーを変えている。エースの高田保則や氏原良二など、選手たちにケガが続出している状況もあるが、一方で首脳陣がしっかりと相手を研究し、考えに考えた跡が見てとれる。
 この日の草津は後藤涼を1トップ気味に置き、ウイングに島田裕介と佐田聡太郎を配置した。これは、広島の3バックが持つ攻撃力を封じ込め、高い位置でボールを奪うために、前線から激しくプレスをかけるための布陣だった。さらに、ボランチの森崎和幸に対しても、松下裕樹や熊林親吾らが強烈なプレスをかける。ストヤノフと森崎和の2人を抑え込むことで、広島のパス回しを封じ込めようとした。
 この戦術が功を奏し、立ち上がりから草津は広島を追い込んだ。前から張った網に広島のパスをひっかけ、広島陣内でプレーする時間を長くとった。8分には島田の早いリスタートから、佐田がゴール前に飛び込み、フリーでヘッドを合わせる。が、そのシュートは枠外。草津、千載一遇のチャンスを逃した。

 一方の広島は、少しずつ速いパス回しで草津のプレスをかわすようになり、時間をかけずに裏のスペースをついた。23分、高柳一誠のスルーパスが草津の最終ラインを引き裂き、高萩洋次郎がフリーで飛び出す。ここはDF田中淳のタックルで事なきを得たが、27分には服部のクロスに反応した佐藤寿人へのプレーがファウルをとられ、広島にPKを与えてしまう。
 ボールをセットしたのは、森崎浩司。実は4日前、横浜FC戦の朝、森崎兄弟の祖母・フミ子さんが急逝した。試合後、通夜や葬儀に参加した2人だったが、祖母を亡くした悲しみは時間を重ねるごとに強くなっていた。
 森崎浩は試合前から、佐藤寿に「PKを蹴らせてくれ」と言っていた。森崎浩の決意を聞いたエースは、ボールを背番号7に渡した。実際、森崎浩はサッカーを始めた時からPKを外したことがない。ゼロックス・スーパーカップでも決めていた彼は、PKには絶対の自信を持っていた。
 しかし、弟の姿を見ていた森崎和は「いつもと違う」と予感していた。兄が感じたとおり、弟が蹴ったボールは本田征治の素晴らしい反応の前に弾かれてしまった。

 36分、佐藤寿人のパスから高萩が飛び出し、フリーでシュートを放つ。立ちはだかったのは、またも本田だ。その後も森崎和からの縦パスで裏をとるも、草津の身体を張った守備の前に、広島はどうしても点がとれない。
 ロスタイム2分。46分、自陣でFKをとった草津は、素早いリスタート。しかし、前の選手とのタイミングが合わない。「この時にもっと時間がつくれていれば」と植木監督は悔やむ。その直後、高萩が見事なプレスを仕掛けてボールを奪い、そこからCKをとった。
 キッカーはその高萩。「あの空間に蹴ればチャンスになる」とGKが飛び出せない絶妙のポイントにボールを供給する。飛び込んだのは、槙野智章。
 ヘッド!
 またも本田が驚異的な反応で弾き返す。が、その弾いたボールが、槙野の足が届く場所へ。至近距離から左足で放たれた強烈なシュートに対して、さすがの本田も反応できなかった。
 大歓声の中、コーナーポストまで走った槙野は、チームメイトと共に天に向かって指を突き刺した。それは、森崎兄弟の祖母を悼む、彼らなりのメッセージだったのだ。

 後半、広島は草津の攻勢をいなしながら、何度も決定機をつくった。ただ、本田の好セーブやシュートがバーに当たったこともあり、どうしてもゴールが奪えない。一方、植木監督は高さのあるDF尾本敬を前線に置き、ロングボールでゴールを狙った。しかし、ストヤノフと森崎和を中心に広島は落ち着いて跳ね返し、草津に決定機を許さなかった。
 ただ、敗れたとはいえ、草津が仕掛けたサッカーは賞賛に値する。暑さと移動、連戦で疲労がたまっている中、彼らは最後まで決して腰を引かず、勇気を持って前に仕掛けた。何度も広島に裏をとられても決してラインを下げず、攻撃的な姿勢を崩さなかった。「本当に最後まで頑張るチーム」と佐藤寿人も草津のプレーに敬意を表していた。

 一方の広島は、4試合連続完封勝利と守備に抜群の安定感を誇る。ただ、「チャンスと得点の比率が悪い」とペトロヴィッチ監督が言うように、シュート・ラストパスの精度向上が、この先の戦いでは求められる。長いシーズンを乗り切るためにも、この課題にチーム全体で取り組んでもらいたい。

以上


2008.05.26 Reported by 中野和也
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