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【J1:第13節 神戸 vs 鹿島】レポート:神戸のシュート数は鹿島の2倍。それでも勝つ鹿島の強さと、神戸の可能性が見えた一戦(12.05.27)

「西野監督になって、このチームが変わっていくと断言できます」。
試合後の会見で鹿島・ジョルジーニョ監督が語った言葉だ。「数試合すれば(今までのスタイルに)上積みされた神戸になると思いますし、(その前の)今の段階で当たってよかった」とも言う。もちろん、勝利監督特有のリップサービスも多少は含まれるだろうが、3月20日に対戦したヤマザキナビスコカップの時とは違う“何か”を新生・神戸に感じ取ったのかもしれない。

試合は異様な雰囲気で幕を開けた。神戸側のゴール裏には『西野監督、選手、サポーター全員で出航!! イコウゼ世界!!』と書かれた横断幕が掲げられていた。一方の鹿島側のゴール裏には『目の色かえろ!! 』という強いメッセージ。神戸の野沢拓也がウォーミングアップでピッチに姿を現すと鹿島サポーターからは大ブーイング。同じく古巣対決となった田代有三、伊野波雅彦にも容赦ないブーイングのシャワーが浴びせられる。今季最多の22,766人が詰めかけたホームズスタジアム神戸は、いつもとは温度の違う熱気に包まれていた。

前半の立ち上がり。神戸は積極的にオーバーラップする相馬崇人を軸に、左サイドから攻撃を仕掛ける。逆に鹿島は相馬の上がった後のスペースを執拗に狙っていく。その左サイドの攻防はほぼ互角。このまま、しばらく膠着状態が続くかと思われたが、試合は意外にも早く動いた。7分に鹿島の青木剛が前線へハイボールを放り込むと、神戸のイ グァンソンがボール処理をミス。後ろに流れたボールに鹿島のジュニーニョが反応し、華麗なドリブルシュートで先制に成功する。

その後は、神戸の西野朗監督が「出足はもう少し安定して、リスクを犯さないでバランスを保ってと考えていたけれど、ワンプレーでガラリと流れが変わった」と振り返るように、鹿島がやや優勢に試合を進めていく。それでも神戸は10分に朴康造がセンターサークル付近でインターセプトしたパスをダイレクトで前線の大久保嘉人へつなぐと、大久保が切り返しを一つ入れてシュートを放つなど、何度か鹿島ゴールを脅かした。伊野波や大屋翼、イ グァンソンらのロングフィードから、大久保や小川慶治朗、野沢、朴らがセカンドボールを拾ってチャンスも広げた。だが、結局は無得点。ボールポゼッションで勝る鹿島が有効に時間を使い、前半を1点リードで折り返す。

後半。動いたのは1点を追う神戸だった。スタートから西野監督は前線のターゲットマンとして田代有三を投入。「あまりサイドへ流れずに中央でプレーするよう監督には言われた」という田代が身体を張ったポストプレーを見せると、徐々に神戸がリズムをつかみ始める。だが、またしても波に乗りかけた時間帯(51分)に神戸は追加点を許してしまう。鹿島の遠藤康が左のドゥトラへロングフィードし、ドゥトラがドリブルでペナルティエリア内へ侵入。最後はドゥトラからの折返しを興梠慎三が流し込んで2点目を奪った。

その後は、神戸が鹿島のお株を奪うようなパスワークを見せ、62分頃にはゴール前で森岡亮太がキックフェイントでDF2人を交わしミドルシュートを放つなど、ピッチにはゴールの匂いが漂い続ける。そして90分には大久保、北本久仁衛、森岡とつなぎ、森岡がワンタッチで落としたボールを田代が詰め、1点を返した。だが、反撃もここまで。試合巧者の鹿島がリーグ戦2連勝を飾った。

ところで冒頭部分で記した鹿島のジョルジーニョ監督が感じたであろう“何か”とは一体何だったのか。それは試合3日前に西野監督が話していた「攻守ともにリーダーが必要」という言葉にも関係があるように思う。

この試合の後半途中から、神戸は伊野波をボランチからセンターバックに、野沢を2列目からボランチに下げた。試合後の会見で西野監督は理由をこう話す。
「(野沢は)一つ前の、相手の一番嫌なゾーンで起用するのがベストだと思う。(中略)でも、ボールをコントロールして攻撃にスイッチを入れるスタイルの選手が神戸には必要。(伊野波は)ディフェンスやアンカーではいいと思いますが、ボール配球や前線の選手を生かしていくスタイルの選手ではない。野沢にとっては本意ではなかったと思いますが(ボランチを)よくこなしてくれた」。
あくまで模索中ながら、野沢のボランチ、伊野波のセンターバックも「状況によってはチャレンジする可能性もある」と西野監督は示唆している。実際、鹿島戦の後半はこの野沢と伊野波の起用策でボールを保持し、ショートパスをつないで得点にも結びつけている。決して攻守のリーダーが決まったわけではないが、次のステップに必要な選手像が見えた試合だったのではないだろうか。

前半のシュート数は神戸6、鹿島5に対し、後半は神戸10、鹿島3。この数字を比較しても神戸が後半は完全にゲームを支配したと分析できるだろう。つまり、神戸の可能性が多少なりとも見えた一戦だったといえる。ただ、この状況で、なおかつアウェイという中で勝ち切る鹿島は強い。小笠原満男が「でも、2連勝しただけ。目標はここじゃないので、まだまだ勝っていかないといけないし、どんどん順位を上げていかないといけない」と語るように、鹿島には強いメンタルも根付いている。常勝を半ば義務付けられている鹿島と常勝チームを目指している神戸とでは、経験や完成度という点でまだ埋められない差があるのかも知れない。

以上

2012.05.27 Reported by 白井邦彦
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