ソフトな語り口にだまされてはいけない。ひとたびピッチに解き放たれれば、誰よりも貪欲に、アグレッシブにボールを追う野獣と化す。胸を打つプレースタイルと、好感を与える真摯な対応とのギャップ。瀬沼優司はわずか1試合でサポーターの心を鷲づかみにした。
試合前、阪倉裕二監督から求められたのは、主に守備面に関してのことだったそうだ。
「ボールを取られたら奪い返すことと、サイドに(相手を)限定することを意識し、相手が焦るように緩急を付けながら早いプレスを心掛けた」
状況を見ながら試合序盤から最前線でボールを追い回した。泥臭く、したたかに、ハードワークを続けた結晶が、32分に生まれた貴重な先制弾だった。
千葉の右サイドバックの裏へ供給されたフィードに反応し、あきらめずに食らい付いた。そのことがボールの処理に入った相手選手のミスを誘う。GKへ戻すバックパスが緩くなった瞬間を見逃さなかった。
「ボールがこぼれた瞬間、GKが高い位置にいた。ファーストタッチで前に運ばずに、ダイレクトで打とうと思った」
迷いはなかった。右足から放たれたループシュートは美しい軌道を描き、千葉ゴールへと吸い込まれた。瀬沼のプレースタイルとは対照的な、エレガントな一撃が今季のチーム第1号となった。
ゴールにもおごることなく、その後も瀬沼は連続動作を続け、前線からの守備でチームを助けた。再びハードワークが報われたのは、後半のアディショナルタイム。クリアボールに対して相手DFに競り勝ち、近藤祐介に繋がったボールから湯澤洋介の追加点を呼び込んだのだ。
先制ゴールを奪い、ダメ押しゴールの起点となり、守備でも手を抜かなかった。目に見える結果を残し、勝点3に多大なる貢献をした。充実感はあるはずだ。しかし、本人はいたって冷静だった。「一喜一憂しないこと」を、今季の個人スローガンに掲げているからだ。
「どう見ていただいたかはわからないけど、自分の中で最後は(体力的に)ギリギリだった。運動量が落ちてしまった。(ボールを)追っているように、走っているように見えたかもしれないけど、ほかの部分ではチームメイトに助けられていた。自分が納得できるように、90分走り続けられるようにしたい」
尽きることのないスタミナでプレスを90分掛け続けていたが、その量よりも質に対して腑に落ちない部分があったのだろう。もっと、もっと、成長したい。成長しなければならない。そんな思いを胸に秘め、慢心しないのは、出場機会に恵まれなかった昨季の清水での悔しさがあるからだ。これくらいで満足してはいられないのだ。
硬くなることなく、リラックして臨んだはずの開幕戦だったが、実は1つ忘れ物をしていた。開幕前のイベント「2014栃木SC必勝祈願祭」でファン・サポーターに約束したゴール後のパフォーマンスである。「久々の結果、ゴールだったので、パフォーマンスを忘れてしまった」と緊張から解放され柔和な笑みを見せた瀬沼だが、表情を引き締めると力強くこう宣言した。
「ゴールを取った後でも冷静でいられるくらいゴールを積み重ね、どこかのタイミングで(パフォーマンスを)やりたい」
その言葉からは、背番号9を背負うストライカーとしての矜持がうかがえた。ゴールを量産するのに勢いは必要不可欠な要素。そう考えると、“どこかのタイミング”は、案外早く訪れるかもしれない。
以上
2014.03.03 Reported by 大塚秀毅
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