ただ、「そんなにナイーブになるような悪い内容ではなかった」(興梠)とも振り返ったように、攻撃に関して悲観する必要はないだろう。崩しの質は昨季よりも向上しており、味方をフリーにしてクリーンにシュートを放つ場面が少しずつ増えてきている。
ただ、自陣でボールを回す際に相手のプレスにつかまり気味であったり、崩しのフェーズに入る前に不用意にボールロストしてしまう場面がやや多いことは懸念点だろう。特に今季は昨季よりも攻撃的志向で臨んでいるだけに、守備の強みはそれほどない。
「それは僕自身も感じていて、プレスに関しては良いシーンも出てきていますが、押し込まれたときのブロックを作ったときの守り方に関しては、少しアラートさに欠けるというか。曖昧な雰囲気とか、曖昧な立ち位置も含めて感じてではいるのですが、いまここで言及できることはない感じです」 これは「前から守備に行けているときは良いと思うが、構えたときはあやしくなっていると思うが」という質問に対しての岩尾 憲の回答である。前からのプレスは開幕当初と比べて随分と整備されてきたが、自陣で構えた際は明治安田J1第4節・湘南戦や前節のようにイージーな失点が生まれている。
やはり前輪駆動のチームなだけに、なるべく強みが出せるよう、相手陣地で攻撃と守備を行うことが大前提になるのだろう。そのためにはプレスをより磨いて、ボール保持を増やすために安易なロストは避けなければならない。
ただ、今節の相手である鳥栖は現状の成績こそふるっていないが、プレス回避については一家言あるチーム。相手のプレスを無効化するビルドアップの質はリーグ内でも上位にランクする。ある程度は構える時間も想定しなければいけない。
相手が鳥栖でなくとも、90分間すべてを攻撃と前からの守備だけで過ごすことは不可能なわけで、自陣守備も一定の整備が必要だろう。「そろえることを1つにそろえたら、意外とすべてが解決することもサッカーは往々にしてあると思います。良い守備があまりできないから、良い攻撃があまりできていないという言い方もできる」と岩尾が語ったように、サッカーは1つの局面だけを切り取れるものではない。すべての車輪を同時に回し、向上を図っていく必要がある。
一方の鳥栖は第2節・札幌戦を最後に勝星から見放され、複数失点が続いていたが、前節は昨季王者の神戸相手に0-0と粘りの内容。川井 健太監督も「選手たちのメンタリティーを評価してあげたいなというような試合でした」と復調気配のチームについて手ごたえを話した。19位のチームに似つかわしくないメンタリティーで埼玉スタジアム2002に乗り込んでくるだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
