さまざまな意味で、注目度の高い一戦だ。
まずは、昨季まで3シーズン新潟を率いた松橋 力蔵監督が、対戦相手の指揮官として凱旋すること。
また、新潟としては勝てば今季初の連勝となり、ホームでの初勝利ともなること。それは松橋 力蔵前監督体制だった昨年の9月14日、明治安田J1第30節・湘南戦以来約8カ月ぶりのリーグ戦での歓喜にもなる。その上、FC東京と順位を入れ替えることができる。ここで勝つことには、単なる1勝以上の価値がある。
新潟は前節・広島戦をアウェイで戦い、1-0で勝利。今季加入したミゲル シルヴェイラの新潟での初ゴールが、4試合ぶりの白星を呼び込む決勝点となった。
先制後、追いつかれて1-1で引き分けた前々節・柏戦は、相手のプレスに対して背後ばかりを狙うことで、落ち着かないゲームとなった。この反省を生かし、広島戦ではコンパクトな陣形を保ちながら、ボールを保持して攻撃のリズムを作ることを徹底。アグレッシブに前から奪いにくる広島のプレッシャーをいなして前進し、カウンターを受けても粘りの守備を発揮した。
攻撃の起点となったのは、GK吉満 大介。低弾道のピンポイントパスを次々と味方に届け、スムーズな攻撃につなげた。得点も、吉満 大介からのパスをテンポよくつないで前進し、相手陣で奪われたものの即時奪回しての2次攻撃から生まれたものだった。
「いつもギリギリの、キワのところで負けたり、同点に追いつかれていたんですけど、ここ数試合は我慢強く戦えて、後半も失点ゼロという試合が増えてきているので、本当にたくましくなったなと思います。日頃から練習の強度も相当上がっているので、そういった継続性が試合に出ていると思います」と樹森 大介監督。チームの確かな成長を感じられてきた状況で、今節に挑む。
FC東京は、前々節・G大阪戦を国立競技場で戦い、3-0で実に9試合ぶりの勝利を収めた。ただ、前節・清水戦は0-2で完敗。今季初の連勝とはならなかった。
最前線のマルセロ ヒアンをターゲットに、サイドから長いパスを入れる形で何度もゴールに迫ったが、清水のディフェンスを破れず。松橋 力蔵監督は「攻撃の目線がほとんど合っていなかったことが大きな要因。長いボールを使って有効に運ぶことができれば、それはそれで有効だったはずだが、その方法がうまくいかない中で、ほかの手段に切り替えるという部分でも視点が合わなかった」とコメント。今節に向けて、目線を合わせるよう修正を施してくるはずだ。
松橋 力蔵監督は、新潟から小倉 裕介ヘッドコーチと安野 努フィジカルコーチ、池澤 波空テクニカルコーチを伴ってFC東京へ移った(※肩書きはすべて新潟でのもの)。そのため、新潟については、多角的な視点から詳しく知っているという強みもある。
それでも今節に向け、新潟の藤原 奏哉は力強く言う。
「まずは相手に関係なく、ホームで本当に長い間勝っていないので勝ちたい。FC東京も苦しいシーズンを過ごしていますが、そこにまずは自分たちのスタイルをぶつけて、良い試合にしたいです。去年までリキさん(松橋 力蔵監督)が見てくれたチームですけど、去年を超えるという意味では、次は勝ちたいと思います」 多くの来場者が予想されるデンカSで、今季最も熱い戦いが始まる。
[ 文:野本 桂子 ]

