4年間の長谷川 健太監督体制に終止符を打った名古屋が新監督に迎えたのはペトロヴィッチ氏。セルビア(旧ユーゴスラビア)出身で2006年に広島の監督に就任すると、浦和、札幌の監督を歴任。2018年にはJ1優秀監督賞を受賞した。3クラブで合わせて約19年、J1で594試合の指揮を執った名将は、2024シーズン終了時に「95%監督としてのキャリアを終えるかもしれない」と話していたが、名古屋からの熱烈なオファーに、“残りの5%”を選択。名古屋では始動日から大きな声で熱血指導をしている。
一方の清水が新監督に招聘したのは、昨季まで神戸を率いていた吉田 孝行氏。2023年には攻守にバランスのとれたサッカーでクラブ史上初のJ1優勝に導き、翌2024年はJ1連覇と天皇杯制覇の2冠を達成。昨季はリーグ戦で5位に終わったものの、近年で最も結果を残している監督だと言えるだろう。
どちらの監督も、ともにチーム作りを始めたばかりでやりたいサッカーはまだ浸透し切れていないと思われるが、まずは2人の指揮官がチームをどう変化させようとしているのかを感じ取ってほしい。
もちろん新加入選手にも注目が集まる。名古屋の高嶺 朋樹は札幌から期限付き移籍で加入。運動量豊富でボールを狩り取る守備力もさることながら、左足での正確なキックで一瞬にして得点チャンスを作り出すことも特長だ。札幌ではペトロヴィッチ監督から指導を受けており、新監督のやりたいサッカーを最も理解している選手だと言える。
「ミシャ(ペトロヴィッチ監督)のサッカーは前に人数をかけるし、前に行く回数が多いほどチャンスは増える。前線のタレントはJ1でもトップクラスだと思うので、どれだけ良いボールを供給できるか、良い体勢のときにパスを渡せるかが大事だと思っています」(高嶺 朋樹)と、自分の役割を認識している。練習試合を観る限りではボランチの稲垣 祥とのコンビネーションも良く、ともに高いデュエル能力でピンチの芽を摘み取っていた。超攻撃的な新監督のスタイルでは守備面が不安視されているが、ボランチを中心とした守備力に大きな問題はないだろう。
対する清水で注目したい新加入選手は、3シーズンぶりに復帰したオ セフン。194cmの高さを生かしたプレーが武器で、体を張れるセンターFWだ。以前在籍していた2シーズンでは計3得点に終わり、出場機会を求めて移籍をしたが、吉田 孝行新監督の熱烈なラブコールに復帰を決めた。町田ではタイトル争いを経験し、「成長した姿をサポーターに見せたい。百年構想リーグでの目標は10得点」と意気込んでいる。
この特別大会は優勝すればAFCチャンピオンズリーグエリートの出場権を得られる上、J2への降格はなく、クラブによってはさまざまなチャレンジができる大会だ。勝ち負けに一喜一憂せず、クラブの狙いも考察しながら百年構想リーグを楽しんでいきたい。
[ 文:斎藤 孝一 ]
