FC東京は開幕戦で昨季王者・鹿島と対戦。激しい攻防の末、試合はPK戦までもつれ込む死闘となった。GKキム スンギュが鹿島の4人目・小池 龍太のキックをセーブすると、FC東京は全5選手がPKを成功。王者相手に価値ある白星を挙げ、勝点2を獲得した。前半、鹿島の三竿 健斗がレッドカードで退場したものの、数的優位の時間帯を生かし切れず、90分で決着をつけられなかった点は課題として残る。それでも、新戦力がピッチに立ち、狙いとする形も随所に見られた。ビルドアップからサイドを使った崩し、前線からの積極的なプレスなど、チームとしての方向性は明確だ。あとはゴール前での決定力が問われる。
その決定力という点で注目されるのが、昨季6月に浦和から期限付き移籍で加入し、今季完全移籍に移行した長倉 幹樹だ。開幕戦では「決定的なチャンスはあまり多くなかった中で、決め切りたかった」と悔しさを露わにし、古巣戦へ向けては冷静に意欲を示した。
「僕がいた頃から守備が堅いイメージのあるチームなので、先制点は大事になると思います。シュートの回数を増やすことも重要ですし、決定機を決め切るのは前線の仕事なので、個の力で仕留めることも大事になると思います」 さらに、昨季のリーグ戦ではホーム・アウェイでともに浦和からゴールを挙げている遠藤 渓太もキーマンだ。開幕戦に続く2試合連続ゴールへの期待が高まる中、「開幕戦で浦和も勝っていましたし、チームとして雰囲気も良いと思います。もちろん簡単な相手ではないですが、ホームで戦える。前回は勝点3を届けられなかったぶん、次は勝点3を取りたい」と勝利への強い決意を示した。
また、アレクサンダー ショルツにとっても、特別な古巣戦となる。「彼らがホームに乗り込んでくるが、良い試合をしたい。東京と浦和の試合はいつも特別です。自分は浦和でも東京でもプレーしてきたので、とても楽しみにしています」と強い思いを明かした。
対する浦和は開幕戦で千葉と対戦し、松尾 佑介と肥田野 蓮治のゴールで2-0と快勝。勝点3を手にした。マチェイ スコルジャ監督は試合後、「立ち上がりからアグレッシブで強度の高い守備ができ、早い時間帯に2得点できたのは良かった」と評価した。その一方で、「少し引き過ぎた時間帯もあった。カウンターでもう少し冷静さと連係があれば3点目も狙えた」と課題にも触れた。
昨季すでにJFA・Jリーグ特別指定選手としてゴールを記録し、プロデビュー戦となった開幕戦でもゴールを挙げた肥田野 蓮治は勢いに乗る。FC東京U-15深川出身で、ユース昇格を逃した悔しさを胸に刻んできただけに、古巣のホームで、2試合連続ゴールを決めたいという意欲は強いだろう。
そして今季からキャプテンを務める渡邊 凌磨にとっても、FC東京は特別な存在だ。かつて在籍したクラブとの再会。背負う責任とともに、勝利への思いは一層強まるはずだ。
連勝を懸けた一戦は、単なる勝点3以上の意味を持つ。新たな挑戦、古巣への思い、そして譲れない意地。90分間のせめぎ合いを制し、次の景色を見るのはどちらか。答えは、ピッチ上の戦いの中で示される。
[ 文:匂坂 俊之 ]
