両チームによる決勝は、運命的な顔合わせでもある。C大阪の状況から見ていくと、2年連続でのファイナル進出。小菊監督にとって昨季の決勝は、就任からわずか66日目で迎えた戴冠のチャンスだった。クラブに3つ目の星を刻むべく挑んだ名古屋戦だったが、0-2の敗戦。涙に暮れた試合後、指揮官は「あの光景を胸に刻み、焼き付けることによって、『またあの舞台に立つ』と。その思いで見ていた」と語ったが、まさにその言葉どおりチームを進化させ、1年後に再びファイナルの舞台に戻ってきた。「今年こそ3つ目の星をとって、笑顔や感動を届けたい」。その決意は固い。また、今季は“対広島”の部分でも公式戦3連敗と、悔しさを味わってきた。リーグ戦の1戦目は公式戦6連勝中、2戦目は公式戦11試合負けなしの状況で臨んだが、いずれもその快進撃を止められた。天皇杯でも準々決勝で対戦。終盤まで1-0でリードしながら86分、90+1分に失点して逆転負け。1つのタイトルを失った。それだけに、今回の決勝へ懸ける思いは強い。昨季のリベンジ、そして“打倒・広島”。C大阪の勝利への渇望、モチベーションはMAXに達している。
一方の広島も、並々ならぬ覚悟でこの決勝に挑む。1週間前までは2冠のチャンスがあった。16日に行われた天皇杯決勝。相手はJ2の甲府。大方の予想としては、広島の優位は堅いと思われた。だが、結果はPK戦の末に敗退。もちろん、J1クラブを立て続けに破って決勝へコマを進め、ファイナルでも意思統一された攻守で広島を撃破した甲府の健闘は大いに称えられるべきだ。それでもJ1で3位の広島としては、J2で下位の甲府にジャイアントキリングを許し、不覚を取った思いが強いだろう。「いま、自分たちは非常に残念な気持ちで沈んでいる。ただ、スポーツは勝つ者もいれば負ける者もいます。負けた者としては、できるだけ早く切り替えて次のステップに進んでいくことが重要」とミヒャエル スキッベ監督は試合後に話したが、この試合に向けていかに心身両面で立て直し、前向きなメンタルで臨めるかはカギになる。今季、ここまでリーグ戦では上位、カップ戦は決勝に進出し、素晴らしいシーズンを送ってきた。それだけに、無冠で終わりたくない気持ちは強い。6日前の絶望を歓喜に変えるべく、大一番へ挑む。
両チーム、勝利への深い思いを抱いて戦う決勝戦。どのような結末で終わろうと、大会の歴史において、ドラマとして語り継がれる一戦になることは間違いない。両チームのサポーターはもちろん、すべてのJリーグファンに見届けてほしい、極上のファイナルになる。
[ 文:小田 尚史 ]


