その試合で新加入のブライアン リンセンが負傷してしまう悲劇が起き、キャスパー ユンカーとアレックス シャルクは復帰間もない状態。前線の厚みはいまだ乏しいが、中盤より後ろは充実している。ここ数試合の良い流れを継続して戦えるだろう。
そして23日に行われたパリ・サンジェルマンとの親善試合は、多くの学びの場となった。スコアは0-3の完敗だったが、公式戦ではないのだから、問題となるのは何に気づいて何を変えようとするかだ。
その点、浦和の若い選手たちはかなり明瞭に言語化してくれた。例えば、ネイマールからボールを奪う見せ場を作り、「自分的にもけっこううれしかったですね(笑)。あんな有名な選手にぶつかって取れたのは、価値があるなと思いました。メチャメチャ自信になります」と顔をほころばせた安居 海渡は、相手の守備について受けた印象を語るときは別の表情を見せた。
「正直、『このくらいまでのラインなら持ってこられてもいいよ、別に守れるし』という感じがすごくあって、本当にそれで守られているのが自分たちのいまの限界というか。考えているところと見ているところが違うかなと思いました。体も強いんですけど、予測が自分たちよりも何段階も上で、コースが見られているというか。目線をズラして蹴ったりしないと入るボールも入らないなと感じました。そういうところは圧倒的にあっちのほうが上でしたね」 試合終盤にドリブルで切り込んでスタジアムを沸かせた松崎 快も、チャンスを作れたという認識はしていなかった。
「正直、ドリブルしているときにコースを消されながら前に誘われている感じがすごくありました。少し時間を作ろうかな、バックパスを交えて時間を作りたいなというときでも、そこのコースがなくて前に行かざるを得ない。(パリ・サンジェルマンは)そんなにスプリントしていないと思うのですけど、気づいたらポイントに誘導されて取られているというシーンがすごく多かった」 「新鮮というか、Jリーグではまずないと思うので、本当に賢いなと思いました。ただ単にうまいとか強い速いではなくて、細かい部分が実際やってみると全然違うんだなと。『サッカーってこういうことだな』と思いながらプレーしていました。レベルの差というか、やっていることの違いが大きいかなと思います」 こうした意識をすぐにピッチ上に反映させることは難しいだろうが、気づいたのであれば実行に移すことができる。今後、浦和が国内トップに躍り出て、欧州基準に近づいていくために、親善試合とはいえこの経験をどう生かすかはかなり重要になってくる。
ただ、それは20日に同じくパリ・サンジェルマンと戦った川崎Fにも同じ学びがあったということだ。同様に高い基準を経験したことで、目線を一層高くそろえて埼玉スタジアム2002に乗り込んでくるだろう。さらにはジェジエウに登里 享平と長らく離脱していた主力が戻ってきた。
ただ、浦和としてはリーグ戦で過去3シーズン未勝利の川崎Fを超えなくして将来の優勝はなしえないし、いまのチーム状況ならひるむ必要はない。川崎Fとしてもリーグ3連覇に向け、これ以上首位から離されるわけにはいかない。激戦は必至だ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
