川崎FがホームにFC東京を迎える一戦。両者は前身を含めればJ2がまだ存在していなかったJFL時代からしのぎを削り、1999年のJ2では上位を争い続けた結果、そろってクラブ史上初のJ1昇格を決めた。その後、互いにJ2降格を経験しながら、現在ではリーグをけん引する立場としてJ1を盛り上げている。
そんな両者は街どころか都県も別とするのだが、東京と神奈川の都県境となる多摩川を挟んで隣り合うこともあり、2007年から“多摩川クラシコ”と冠し、数々の名勝負を繰り広げてきた。
Jリーグで43回目の“多摩川クラシコ”となる今節は、それぞれがきっかけをつかみたい一戦となる。
川崎Fはここまでリーグ戦4試合を終え、1勝3敗で15位に沈んでいる。例年にないほど選手の入れ替えがありながらも、リーグ奪還を目指して臨んだが、スタートダッシュには失敗してしまった。
リーグ2位タイの7得点を挙げている一方、失点数はリーグワーストタイの『9』。鬼木 達監督は常に「攻守は表裏一体」と話しているが、得点すれば失点もする、失点を抑えれば得点できないという試合が続いているのが現状だ。
その点、インターナショナルマッチウィークにより、大事な試合までの準備期間が2週間あったことはチームにとってポジティブな要素だった。そして、その間に負傷によって直近2試合を欠場していたエリソンが戻ってきた。
2戦連続で先発出場していた山田 新は持ち味の強さや速さを生かし、最前線で奮闘していたが、今季から加入して出場した公式戦4試合すべてでゴールを挙げたストライカーの復帰は心強い。エリソンは「どの試合も同じような気持ちで挑んでいる」と話す一方、ブラジル時代はダービーマッチでことごとくゴールしていたようで、ゴールを決めたダービーマッチに“多摩川クラシコ”も加えることが期待される。
もちろん、大事なことは誰が出るか、誰が活躍するかではなく、チームとして勝利すること。キャプテンの脇坂 泰斗が「シーズン通して見たら、『“多摩川クラシコ”からフロンターレ来たね』と言われるようなゲームにしたい」と話したように、この試合から上昇気流に乗るべく全力を尽くす。
一方、FC東京もなかなか結果が出ない状況が続いていたが、前節・福岡戦を3-1で制し、今季初勝利。アウェイの福岡戦で24年ぶりに勝利し、仲川 輝人は「パスワークやポゼッションにも兆しが見られたし、内容も満足できるものだった」と好感触を得ている。
その仲川に加え、福岡戦で加入後初先発となり、脇坂も「ボールを保持しているときの安定感が増した」と警戒する高 宇洋は川崎Fの育成組織出身。彼らが“古巣”に対して激しく闘うことでチームの士気は高まるだろう。そして、チームとして福岡戦で見えた兆しを「今年一番大事な試合と言っても過言ではないくらいの“多摩川クラシコ”」(仲川)で確かな手ごたえにできるか。
かつては7-0と大差がついたり、5-4と打ち合いになったこともあるが、ここ5試合はいずれも1点差、そのうち3試合は1-0ときっ抗している。43回目の“多摩川クラシコ”となる今節はどんな結末となるか。それは誰にも分からないが、観る者を興奮させる激しい戦いがピッチ上で繰り広げられることだけは間違いないだろう。
[ 文:菊地 正典 ]


