コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2017/5/9 17:42

Jリーグ選抜が東京国際ユースへ初参戦。体感した異文化と、選抜の意義(#55)

東京国際ユース(U-14)サッカー大会が、5月3日から6日にかけて駒沢オリンピック公園などを舞台に今年も開催された。今年度からはJリーグのバックアップも受けながら大会規模をさらに拡充。昨年のFIFAクラブワールドカップにて鹿島アントラーズと死闘を展開したことで日本でもお馴染みになったマメロディ・サンダウンズFC(南アフリカ)を新たに招待するなど、世界11カ国からチームを招いての開催となった。

さらに今年はJリーグ自体も、全国津々浦々のJリーグのアカデミー(育成組織)に所属する選手たちをピックアップした「U-14 Jリーグ選抜」を独自に編成して新規参戦。堺で大規模な候補キャンプを開催した上で、16名の精鋭を選んで大会に臨んだ。指揮を執るのは、中学年代のスペシャリストとしてG大阪ジュニアユースで多くの選手育成に携わってきた鴨川 幸司氏(現・G大阪アカデミーダイレクター)である。

「いろいろな国のいろいろなサッカーのスタイルがあることを学べて、選手にとっても指導者にとっても、すべてが勉強になる」と試合後語った鴨川監督
「いろいろな国のいろいろなサッカーのスタイルがあることを学べて、選手にとっても指導者にとっても、すべてが勉強になる」と試合後語った鴨川監督

鴨川監督は「来てみたら、思ってたより大きな大会でビックリした」と笑いつつ、「サッカーだけでなく、いろいろな国の選手と交流できるのが素晴らしいですね」と言う。サッカー面でも“異文化”との交流は刺激になると言い、印象的なチームとして1次ラウンドで対戦したマメロディ・サンダウンズを挙げた。

「特に球際の争いとかの感覚が日本では味わえないもの。ハーフタイムで選手同士の話を聞いていると『ビックリするタイミングで足が伸びてくんねん!』とか話していて、本当に良い経験をさせてもらってるな、と。これは日本の中で日本人同士と試合をしているだけでは絶対に学べないものですから。いろいろな国のいろいろなサッカーのスタイルがあることを学べて、選手にとっても指導者にとっても、すべてが勉強になる」(鴨川監督)

急造チームだけに、ギアが入るまでに少々時間が掛かってしまったこともあって、結果は6位と満足のいくものではなかった。大会を通じて、ゴール前で多くのチャンスを築きながら決め切れないで敗れるという日本のチームにありがちな流れになってしまったのも悔いの残るところ。ただ、その“弱み”を13、4歳という段階で臨んだ国際舞台で体感できたこと自体がポジティブな可能性ではあるだろう。後は個々人がチームに戻ってどう取り組んでいくかだ。

恵まれた体格を生かした強気のディフェンスや、大胆不敵なロングシュートでゴールも奪うなど十二分に存在感を発揮した秋田のDF増村
恵まれた体格を生かした強気のディフェンスや、大胆不敵なロングシュートでゴールも奪うなど十二分に存在感を発揮した秋田のDF増村

またこの大会では、Jリーグ選抜という枠組みの意義も感じられた。たとえば、J3のブラウブリッツ秋田から参戦したDF増村 風月は、候補合宿の当初は「静かな感じ」(鴨川監督)で遠慮がちに過ごしていたようだが、徐々に自信をつかむと本領を発揮。大会では恵まれた体格を生かした強気のディフェンスに加えて、大胆不敵なロングシュートでゴールも奪うなど十二分に存在感を発揮。「キックも上手いし、守備の感覚がいい」(鴨川監督)という持ち味を出して、自信をつかんで秋田に戻ることとなったようだ。

また一際小柄ながら、ハイレベルな技術を持つMF井上 真成(ヴァンフォーレ甲府)のプレーぶりも印象的で、「ポジショニングが良くて、ええパスを出せる」と幾多のテクニシャンを育ててきた鴨川監督からトップ下の位置を託されて躍動を見せた。まだまだ体ができていないために潰されることも多かったが、「先を見据えて選んだ」(鴨川監督)というセレクションを象徴するような選手だろう。

「こんなハイプレッシャーの中でやる機会自体を持てない選手も多い」(鴨川監督)からこそ、大都市圏の選手たちだけでなく、いろいろな可能性を発掘できるのが選抜チームの価値もあるというもの。大会に参加した選手たちはこの経験をそれぞれ成長の糧にしてもらいたい。そして来年は是非、大会参加5年目で4度の優勝を果たしているアルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズと対戦するところまで勝ち上がっていくことを期待したい。やってみないことには分からない世界が、そこにはある。

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