横浜FMは前節、アウェイに乗り込んで広島と対戦。スティーブ ホーランド監督はオーソドックスな[4-4-2]を選択し、コンパクトなミドルブロックで広島を抑えにかかる。すると、その戦術選択が奏功。前半のシュート数は横浜FMが1本、広島が2本だったが、そうは感じさせない白熱した攻防が繰り広げられた。ところが後半の立ち上がり、自陣でのロストからPKを与えて失点。74分の4枚代えの効果もあって終盤は広島ゴールに迫ったものの、1点が遠く、最少失点でシーズン初黒星を喫した。
ただ、敗れた中でも収穫はあった。今季初めて3バックの相手となった広島のマンツーマン守備に対して粘り強くボールを動かし、長短のパスを織り交ぜたビルドアップでチャンスを創出。守っても前線2枚がうまく規制をかけつつ、ポジションがかみ合わない相手に後ろがスライドしながら対応した。
前節までの公式戦3試合で採用したシステム(可変含む)はすべて異なるも、ベースとなるコンセプトを堅持することで伸びシロを感じさせる一戦でもあった。「勝点を得ることはできなかったが、自分たちのチームに対してはハッピーな気持ち」。この指揮官のコメントも決して負け惜しみには聞こえない。
そして今節、日産スタジアムで迎え撃つ横浜FCは、広島と同じシステムが濃厚。広島戦の反省点をどう生かすかが焦点の1つとなる。今節からは中2日の連戦が3試合続くだけに、負荷を分散させる起用法もポイントとなりそうだ。
対する横浜FCは前節、ホーム・ニッパツ三ツ沢球技場で同じ昇格組の岡山と対戦。0-0で迎えた57分、櫻川 ソロモンが自らのシュートのこぼれ球を押し込んで先制すると、終盤の岡山の猛攻にも守備陣が耐えてクリーンシート。“ウノゼロ”で今季初白星を飾り、今節は2連勝が懸かる一戦となる。
過去のJ1における“横浜ダービー”の戦績は、横浜FMから見て4勝1分3敗。決着がついた試合はいずれもホームチームが勝利している。横浜FMの4勝の内訳を紐解けば、すべて4得点以上で大勝し、失点は18年前の2007年に喫した1つのみ。データ的なジンクスを踏まえれば、横浜FMに分がある。
ただ、横浜FMは今季、新体制がスタートしたばかりの積み上げている段階。先の広島戦で一定の手ごたえをつかんだとはいえ、現実はリーグ戦2試合未勝利であり、四方田 修平監督体制4年目の横浜FCが成熟度で上回ると目される。新体制、昇格組と背景は違えど、シーズン序盤でダービーでの勝利がもたらす “成長エンジン”を手にしたいのは双方同じだろう。
[ 文:大林 洋平 ]

