5月25日(日) 2008 J2リーグ戦 第16節
福岡 2 - 0 仙台 (13:03/レベスタ/7,232人)
得点者:60' 田中佑昌(福岡)、81' 大久保哲哉(福岡)
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ロスタイム、メインスタンドから自然発生的に起こった手拍子がレベルファイブスタジアム全体に広がっていく。その軽快なリズムに乗って福岡イレブンがボールを運ぶ。その姿に合わせて、さらに手拍子が大きくなっていく。ロスタイムは既に2分を経過。しかし、誰にもその長さは気にならない。選手たちはホイッスルがなるまで力の限りに戦う姿勢を見せ、スタンドの観衆は彼らをどこまでも支え続ける思いを伝える。そして試合終了のホイッスル。勝利の雄たけび。湧き上がる歓声。その瞬間、スタジアムはひとつになった。
「福岡の何とかしないといけないというエネルギーに、うちのエネルギーが劣ったということです」。手倉森誠監督(仙台)が振り返ったように、立ち上がりからリズムを刻んだのは福岡だった。布陣は前節のC大阪戦と同様、3枚のDFラインの後ろに布部をスイーパーとして置く変則の4−5−1。原則としてマークを受け渡さず、徹底したマンマークで目の前の相手をつぶしていく。そして決して慌てずにボールを支配。機を見てボールをサイドに展開すると、右からは田中佑昌、左からは中島崇典がサイドを駆け上がる。
そんな福岡の前に仙台からいつものサッカーが消えた。縦へのスピードが全く上がらず、プレスも甘い。ボールホルダーは常に孤立して福岡にボールを奪われ、最大の特徴であるサイド攻撃も、相手に主導権を奪われた中では全く効果を表さない。「サイドの攻防で常に相手に先手を取られた。スペースを作って、そこを他の選手に使わせようとしたがボールが回らなかった」(梁勇基)。1対1の局面、運動量、ボールに対する執着心、すべての面で勝っていたのは福岡だった。
33分にはPKという最大のピンチを迎えた福岡だったが、ここは神山竜一がスーパーセーブでゴールを守る。「アウェイの仙台戦でもPKがあって、キッカーも同じで、そのときは左に蹴っていたので。一応、我慢して、蹴った瞬間に左に飛んだ」。冷静な判断力が生んだスーパーセーブだった。
そして、後半序盤の仙台の攻撃を跳ね返したあと、ついに福岡の思いが結実する瞬間がやってくる。時間は60分。CKのチャンスから仙台のクリアがペナルティエリアの右角にこぼれる。そこで待っていたのは田中。「少し戻りながらのシュート。エリア内のボールだったのでシュートしか考えていなかった」。田中の左足から放たれたシュートは、仙台DFに当たり、クロスバーに当たり、そしてゴールネットを揺らした。
この1点でようやく目が覚めたのか、仙台もすぐに決定機を作る。62分には鮮やかなボール回しから最後は平瀬智行がダイビングヘッド。その2分後には田村直也のオーバーヘッドがゴールを襲う。しかし、いずれもゴールをわずかに外れていく。そして81分、福岡に勝負を決める2点目がうまれた。決めたのは大久保哲哉。中島からのロングフィードを足元に収めると、巧みなステップワークで対峙するDFをかわしてGKと1対1に。飛び出してくる林卓人の動きを見極めて、ゴール右隅に流し込んだ。
サポーターへの気持ち、サッカーへの気持ち、そして仲間への思い。多くのものを背負って戦った福岡の勝利だった。チームの状況は決して万全とはいえない。鮮やかなサッカーを展開する力も今はない。しかし、自分たちができることを、1人、1人が精一杯にぶつけた。個々が役割と責任を果たし、それがつながってチームがひとつになり、その姿勢がスタンドの観衆をひきつけた。その上での勝利だった。「全員が気持ちの入ったプレーをしてくれたこと、最後まで集中力を維持してくれたこと、それが私にとっては何よりの収穫」。リトバルスキー監督は試合を振り返った。
そして仙台。「テンポもずれていたし、ワンタッチで入るバスも遅かったし。相手に陣形を取られたときに後ろではゆっくりつなげるけれども、その後を省エネしてしまった」とは手倉森監督。「どこもいいところがなく終わった試合。ひとつ、ひとつの動きが相手の方が上回ってたというのがあるし、落ち着いてつなげるかという部分でも差があった」と梁勇基も試合を振り返る。11試合ぶりの敗戦は思った以上に厳しい内容で幕を閉じた。
以上
2008.05.26 Reported by 中倉一志




































