12月15日(水)第84回天皇杯全日本サッカー選手権 5回戦
浦 和 3-0 湘 南 (19:00/岡山)
得点者:前半10分 田中達也(浦和)、前半29分 田中達也(浦和)、後半39分 長谷部誠(浦和)
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延長戦の末PK戦まで戦ったチャンピオンシップから中3日。エメルソン、三都主、闘莉王を欠く布陣。さらに絶対に勝つことが義務付けられたJ2との試合。天皇杯5回戦に臨む浦和にとって難しい試合になることが予想されていた。しかし、そんな中で浦和は随所にトップチームらしいプレーを展開。湘南に付け入る隙を与えずに3-0で勝利、順当に準々決勝へ駒を進めた。準々決勝の相手はFC東京。浦和は埼玉スタジアムでナビスコカップ決勝戦の雪辱を狙う。
肉体的にも精神的にも疲労を抱える浦和は連戦の影響からか動きが思い。そんな浦和に対して、湘南は中盤の4人をフラットに並べて等間隔に3つのラインを形成。相手が入ってくるところをつかまえて、サイドからのカウンター攻撃を狙う。前半9分には右サイドを突破した高田から中央で待つ柿本へ。続く10分には、スルーパスに反応した佐野がゴール前に飛び出してと、あわやという場面を作り出す。さすがの浦和も苦戦を余儀なくされるような立ち上がりだった。
しかし前半10分、浦和は一瞬の間隙をぬって先制点を挙げる。鈴木からの浮き球のパスに反応した田中がラインの裏へ。頭越しに飛んでくる難しいボールに右足ボレーで合わせた。ここからペースは浦和へ。試合展開自体はゆったりとしたものだが、相手の隙を見逃さずに高速プレスでボールを奪取。それに合わせてチーム全体が一気にスピードを上げてゴールに迫っては決定機の山を築いていく。湘南は前に出ることが出来ず、ズルズルと後ろへ下がらざるを得なかった。
浦和の追加点は前半29分、最終ラインでボールを持つ湘南に猛然とプレスをかけてミスを誘うと、そのボールを拾った永井から田中へ。フリーでボールを受けた田中が落ちついてゴールネットを揺らした。その後も試合は浦和の一方的なペース。ポイントを突いてスピードを上げる浦和の攻撃に戸惑いを見せる湘南は、相手を捕まえられず、プレスもかけられず、そしてミスを突かれて決定機を作られるという繰り返し。シュート数は浦和の12本に対して湘南の1本と、スコア以上の差が感じられた前半だった。
「前半のことは忘れて開き直って思い切りやれ。後半45分にベストを尽くせ」。チャレンジャーのはずが浦和の攻撃に腰が引けてしまったイレブンに、上田監督(湘南)が檄を飛ばす。そして、ようやく湘南が前に出始めた。高田が2列目でボールを受けて起点を作り、柿本、佐野がラインの裏を狙い、そして右SBの加藤も積極的にオーバーラップを繰り返す。次第に浦和陣内でプレーする時間帯が増えていく。
しかし、それでもなお浦和の守備が崩れることはなかった。ペースタウンはしたものの、湘南がチャンスを広げる一歩手前でその攻撃を寸断する浦和は、こぼれたボールを拾ってカウンターを狙い相手にリズムを与えない。そして前半同様、ここぞという所では激しくプレスをかけてボールを奪いに行く。攻守にわたって浦和のプレスに戸惑う湘南は、攻めているようで、結局は思い通りに試合を進めることが出来ないままに時間が過ぎていった。
そして後半39分、湘南のクリアミスを拾った長谷部がドリブルで持ち込んで右足を一閃。ゴール左隅に決めて試合を終わらせた。「後半は少し落ちたが、常に支配することができた。3点目も取ったし、90分を通してみると満足している」とはブッフバルト監督。対する上田監督は「結果が示すように3-0。そういう意味では完敗だと思う。我々としては今の力の差を感じながら、来シーズンに向けていい経験にしたいと思う」と試合を振り返った。
湘南にとってJ1との力の差をまざまざと見せ付けられた試合だった。中でも顕著だったのがスピードの差。わずかな隙を見つけて鋭くプレスをかける速さ、ボールを奪ってからのギアチェンジの速さ、そして攻守の切り替えの速さに大きな差があった。湘南は最後までそのスピードに対応することが出来なかった。
さて、万全の体制からは問遠かった浦和だが、そんな中でも、自分たちがやるべきサッカーを、きちんとやり通したところにチームの地力の強さが感じられた。いくつもの勝利を重ねていく中で、チームがひと回りも、ふた回りも大きくなっていることが感じられる。J1勢にとってモチベーションが難しいと言われている天皇杯だが、浦和はリーグ戦と変わらない気持ちで試合を戦えているように見える。
準々決勝の相手は浦和が苦手とするFC東京。今年のリーグ戦では1勝1敗。ナビスコカップ決勝戦では数的有利を生かせずに敗れた。しかし、鈴木選手は力強く語る。「埼玉スタジアムでやれるということは僕たちにとって有利。コンディション的には相手より多少厳しい面はあるが、そこは自分たちの能力であったり、ここまで培ってきた自信であったり、そういったもので消せると思う」。浦和は天皇杯初制覇に向けて最大の関門であるFC東京との対戦に臨む。
以上
2004.12.16 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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