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リーグ戦も早いもので１０試合を消化した。序盤戦の栃木の戦績は、６勝２敗２分の勝点２０（得点１７。失点８）。千葉に次いで２位に付けている。「色々な経験ができたし、ここまでは悪くない」というのが松田浩監督の序盤戦総括。一定の評価を下しつつも、「残り試合も同じペースで行ける保証は全くない」と話し、「１試合１試合しっかり戦うだけ」と一戦必勝を改めて強調した。次節は千葉戦が控えているが、先を見ると足をすくわれる。意識すべきなのは千葉の黄色ではなく、北九州の黄色。上位対決ではナチュラルに上がるモチベーションと気持ちを、北九州が相手でも上げられるかが今節の勝敗の鍵を握る。
前節の湘南との上位決戦を２‐０で制した栃木。「ただ引いて守るのではなく、中盤でボールを奪い、カウンターからフィニッシュまで持って行けた。自分達の形が出た試合だった」と振り返るのは那須川将大。先制点のシーンは、まさに那須川の言葉通り。パウリーニョがセカンドボールを拾い、前線の４枚と後の６枚の間に生じる湘南のスペースを、水沼宏太が巧みにドリブルで突き、リカルド・ロボがフィニッシュ。
ショートカウンターのお手本のような展開を、「１点目のようなシーンを増やせれば、相手は脅威を感じる」と水沼。北九州はリスクを冒して後方からボールを繋ぐのが持ち味のひとつ。「繋ぐチームに対して、うちの守備がはまれば、いい場所でボールが取れる」と那須川が言うように、ブロックに引っかけてからの高速カウンターは栃木の最大の武器。湘南戦のように手数を掛けずにゴール前に運べれば、７試合ぶり、チーム通算１００ゴールのメモリアル弾を決めたロボが待機している。復調の兆しを見せるエースに良質なボールを供給し、先手を奪いたい。
大分（１２節）、愛媛（１３節）に連敗を喫したものの、徳島（１３節）を４‐０で退けてからの３試合は３完封。「堅守・栃木」復活の要因を、那須川はこう説明する。
「ＤＦ陣だけなく、ひとり１人の守備意識が高い。ポジショニングとか、（ＤＦラインと中盤の）間にパスを通させないとか。前線の選手もコースを切ってくれる。ひとり１人の守備意識の高さが結果に結び付いている」
決定的なピンチを平然と防ぐＧＫ鈴木智幸の好守も光るが、チームとしての守備意識の向上が無失点に繋がっている。北九州戦でも引き続き高い連動性を活かした守備を心掛けたい。無失点に抑えていれば、今の栃木ならば確実に得点が奪える。
今季の北九州は昨季の栃木がそうだったように、リーグ戦の“台風の目”になっている。３節の愛媛戦で初勝利を飾り、昨季わずか１勝に終わったチームは既に４勝をマーク。前記したように繋ぐサッカーが今季の最大の特長だ。また、栃木からすれば、北九州には見知った選手が並ぶのも大きな特徴だろう。ハートむき出しのハードマーカー宮本亨は、前節の鳥栖戦で豊田陽平を潰し、エースキラーぶりを遺憾なく発揮した。ロボ封じに闘志を燃やしているのは想像に難くない。スーパーサブとして勝点獲得に貢献しているのが林祐征とレオナルド。宮本、林、レオナルドの３人は、昇格レースから古巣を後退させる、恩返し弾を狙う気満々で乗り込んでくるはずだ。北九州としては０―０で試合を運び、得点が集中している試合の中盤から終盤に勝負を懸けたい。
「敵ではない。自分に勝てるかどうかだけ。敵は自分の中に居る」（松田監督）
昨季の本城での対戦では開始３３秒に高木和正がゴールを奪うも、その後は気の緩みが生じて攻め切れず、ドローに持ち込まれた苦い過去がある。徳島や湘南を撃破したアラートな状態を持続できれば、今季初のグリスタナイトマッチに歓喜の瞬間は訪れるはずだ。己に打ち勝てるかどうか。今季２度目の連勝は、そこに懸かっている。
以上
2011.06.18 Reported by 大塚秀毅
