『TOP OF 北アルプス』――。やはりこの話から切り出さなければならない。

FC岐阜、カターレ富山、そして松本山雅FCの3チームによる合同企画『TOP OF 北アルプス』が発表されたのは、3月27日のこと。そして、今節はその富山との試合を迎える。

北アルプスを背にする3チームで交流を深めると同時に覇を競う、新たなダービーマッチの歴史がここから始まるのだから、盛り上がらないはずがない。自然発生的なダービーではない、クラブ主導ではないかと言うのは簡単。しかし、こういった“お祭り”には傍観者でいるよりも、当事者として乗った方が絶対に楽しいし、ピッチ内外で負けられないという意識も高まってくるはずだ。片山真人も「絶対に優勝します！」とその意気は高い。

富山は開幕から未だ勝星がない。5試合を終えて、3敗2引き分けの勝点2という状況だ。だから与し易し、などと言いたいわけではない。むしろ逆だ。楠瀬章仁が「勝てていないからこそ、迫力を持って攻めてくるはず」と言えば、反町康治監督も「昨シーズンから選手の入れ替わりも少なく、まとまったチーム。実力はうちよりも上」と彼我の戦力差を冷静に判断している。

それは当然だ。日本代表経験を持つ黒部光昭を軸に、今シーズンは山瀬幸宏・加藤弘堅・西川優大・明堂和也、そして木村勝太を獲得。攻撃に輝きを放つ、タイプの異なる選手が揃うアタックには迫力を感じる。また、開幕から採用していた3-6-1のフォーメーションを、前節の北九州戦よりソ・ヨンドクをトップ下に配した3-5-2に変更。早速2得点をあげるなど攻撃への意欲は高まった感が強い。松本も堅守にはある程度の手応えは感じるものの、やはり脆さもあるのは事実だ。特に集中が途切れてバタバタしだして連続失点、という場面も多いだけに、まずは集中力を高く保ち、課題の一つでもあるゲームの入り方には気を付けたい。

そして、そろそろフォワード陣にもう少し点が欲しい。特に「富山との相性は良い」と自信を持つ片山と、25日のFC東京とのトレーニングマッチでハットトリックを達成して大きくアピールした木島徹也には大きな期待が寄せられる。松本と富山、両チームとも同じ3バックということでウィングバックのマッチアップの出来が一つの鍵を握りそうだが、最後に仕事をするのは、やはりフォワードだ。前線の選手の得点は間違いなくチームに活気を呼ぶ。

今シーズン初勝利を狙う富山に対抗するには、ハードワークとメンタリティで負けてはならないのは最低条件。その上でどれだけペナルティエリア内で仕掛ける場面を作ることが出来るか。『TOP OF 北アルプス』初戦、フォワード陣の爆発に期待したい。

以上


2012.03.31 Reported by 多岐太宿