草津が開幕戦以来となる６試合ぶりの勝利を挙げた。２連勝を狙った富山は相手を大きく上回る15本のシュート（草津：６本）を放ったが１点止まり。決定力の差で明暗が分かれた。

両チームともコンパクトな陣形を保って中盤でぶつかり合った。豊富な運動量、寄せの早さ、球際の厳しさといった持ち味を発揮。局地戦から一気にＤＦ裏を突くなど攻めにも鋭さがあり、緊張感の漂う前半だった。
富山は14分、ＭＦ大西容平のクロスにＭＦ谷田悠介が飛び込む。18分にはＭＦソ・ヨンドクのスルーパスにＦＷ木村勝太が抜け出して好機をつくった。草津も積極的にミドルシュートでゴールを狙った。交互に攻め合う中で38分、草津が先制点を挙げた。自陣左サイドからＤＦ永田拓也がＦＷ金成勇に縦パスを送る。同時にスタートを切ったＭＦヘベルチが相手ＤＦを振り切って金からもらい、そのまま独走してきっちりとゴール右隅に蹴り込んだ。コンビネーションとヘベルチの技量による鮮やかな速攻だった。

後半は富山が攻め続けた。ＭＦ加藤弘堅やソ、大西を中心にボールを受けて渡す丹念な作業を繰り返して主導権を握った。ロングフィードも効果的に交えて相手を押し込む。勢いだけではない、チームの成長をうかがわせる猛攻だった。８分にソがグラウンダーのミドル、11分には西川が左からのシュートでゴールを脅かす。18分には加藤のクロスを大西が折り返して西川が絶好機を迎えたがミートできない。25分にもクロスをＤＦ福田俊介が落とし、途中出場のＭＦ明堂和也が狙ったがＧＫの好セーブに阻まれた。

なかなか決め切れずにいたが、思わぬかたちで同点ゴールが生まれた。27分、明堂がＤＦと頭で競ってゴール前に転がったボールをＧＫ北一真がトンネルし、そのままゴールインした。
草津にとっては痛恨のミス。しかし、直後の29分にＭＦ松下裕樹がミドルシュートを決めてこれを帳消しにした。スローインを起点にＦＷリンコンからパスをもらってゴール右へ侵入、右足を一閃してサイドネットに突き刺した。
波乱はあったが、頼りになるチームリーダーの働きでようやく今季２勝目を手にした。副島博志監督は先発メンバーの見直しなどによって「チーム内の競争意識をより高め、緊張感のあるトレーニングができていた。それが前節、今節の結果につながってきている」と語る。浮上への手ごたえを感じているようだ。

一方、富山の安間貴義監督は「勝つ確率を高めることはできたが、それに見合った結果がついてこなかった」。よく攻めたが相手ほどの決め手を繰り出せず、よく守ったが一瞬の隙を突かれて失点した。「一瞬を突きつめていかないと失点はゼロにならない。完封した試合もあり、できたり、できなかったりするのが現状だが、右肩上がりになっていけばよい。（攻撃ではチャンスを数多くつくり）シュート数という分母を大きくすることで得点を増やしたい。悪い内容で勝つことは難しい。勝つために少しでも良いサッカーができるようにひた向きにやる」と語った。
試合終了直前、ＤＦ池端陽介は自陣から駆け上がってボレーシュートを放った。草津ＧＫ北の意地の好セーブに阻まれたが、あわや同点という見せ場をつくった。ＭＦ森泰次郎のフィードからのスピーディーな攻め。中継映像を見直して驚きが新たになる。自陣にいた池端が数秒後にはボールを追う画面に突然表れ、こぼれ球をシュートしている。勝利への執念がほとばしる全力疾走だった。負傷者が続出してチーム状況は楽ではないが、選手たちの闘争心に陰りはない。次節も好ゲームをみせてくれるはずだ。

以上

2012.04.09 Reported by 赤壁逸朗