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【第94回天皇杯 2回戦 名古屋 vs トヨタ】レポート:初の“兄弟対決”を順当に制した名古屋。永井の5得点など計12得点の荒稼ぎで、トヨタを完膚なきまでにねじ伏せた。(14.07.13)

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歴然たる力の差を見せつけた。12得点無失点の大勝劇の内容は、それに尽きる。カテゴリーにして4つ以上の開きがあるアマチュアのトヨタ蹴球団に対し、名古屋はプロとしての能力を誇示しねじ伏せた。前後半それぞれで6得点ずつ。シュート31本の内訳は後半の方が多い18本。この数字が物語るのは、名古屋がトヨタに対し、敬意を持って最後まで全力で戦ったという事実である。就任当初から「リードしても追加点を狙い、最後まで攻め切ることを伝えたい」と語っていた西野朗監督は、このゲームを振り返った際にその点をもっとも高く評価した。明らかな格下との試合は難しい。自分たちが勝って当然だと思うがゆえに、動きが鈍るチームは一つや二つではない。長野に敗れた昨季の名古屋がまさにそうだった。あれから約1年、そうした相手に圧勝してみせたチームを見ていると、西野監督のスタイルの浸透を感じずにはいられない。

ジャイアントキリングを夢見たトヨタは、為すすべなく敗れ去った。“兄弟対決”の実現のため、1年、いやそれ以上の時間をかけてチーム改革を行い、2年連続で愛知県代表の座を奪い取った。彼らを支えていたのは、同じトヨタという大企業をバックボーンに持つ名古屋と戦いたい、あるいは“トヨタ蹴球団”というチームの存在を知らしめたい、という意欲だった。キャプテンの鈴木淳也は「ここに来るまでにチームがけっこう変わってきていて、その変化を体験できた中での今日だった」と語る。東海社会人リーグに所属するチームがJFL所属のチームや県内の強豪大学に勝利できたのは、風村真伸監督も目を細めたように、「個人それぞれがすごく高いモチベーションを持っていてくれた」賜物だった。

12-0のワンサイドゲームは、名古屋の悩めるエース候補の一撃から始まった。キックオフから主導権を握った名古屋は相手の対応の拙さにも助けられ、右サイドを中心に攻め立てる。名古屋の3-5-2とトヨタの4-4-2は選手の並びとしても噛み合わず、その弊害は主にトヨタの側に降りかかった。トヨタは組織として守ろうとボールに人数をかければかけるほど、名古屋にいなされ守備組織にズレが生じていく。粘りの守備が続いたのは17分間のみだった。田口泰士の縦パスをキープした永井謙佑が、DF数人に囲まれながらも左足のシュートを捻じ込むと、永井と名古屋のゴールラッシュの幕が開けた。

永井は21分に矢野貴章のクロスを田中マルクス闘莉王が折り返したところに詰めて2点目。直後の22分に矢野のグラウンダーのクロスをこの日はトップ下に入った矢田旭が触り、方向が変わったところを押し込んで早くもハットトリック達成。31分のCKからの闘莉王のゴールを挟み、42分のCKではダニルソンのヘディングシュートがそれたところに走り込んで4得点目を挙げた。前半終了間際には矢野のクロスを逆サイドのワイドMFである佐藤和樹が頭で押し込みチームは6得点で試合を折り返した。

上記の様子を見ればわかるが、名古屋は前半、これといって自分たちの目指す形での攻撃を繰り出せていない。サイド攻撃こそ頻繁だったが、その終着点としては「パワープレーばかりでした」(矢田)。そのため後半は監督、選手ともに本来のパスサッカーを再確認して臨んだが、ダニルソンと田口泰士ら中盤にミスが多く、その後のトヨタのミスで事なきを得ていたものの、なかなかリズムを刻むことができない。前半に大差がついたゲームは得てして後半は失速しがちなものだが、西野監督はそれを見透かしたように交代策で状況を打開してみせた。

前半同様にややリズムが悪い後半の立ち上がりを受けた62分、小川と矢野に代えて松田力と田鍋陵太がピッチに入る。田鍋は出場後すぐに自慢の俊足で右サイドの突破を開始し、松田は前線に運動量を補充した。すると67分、またも背番号18のゴールから、名古屋のゴールラッシュが再開する。ここまで得点こそ挙げたものの、持ち前の攻撃力を発揮できずにいた佐藤のクロスを、闘莉王が折り返して最後は永井。この日の永井はスピードではなく、ゴールへの嗅覚を感じさせる形で5得点を挙げている。名古屋はその後、68分に佐藤のグラウンダーのクロスから松田、71分に松田のアシストから矢田がゴール。77分には右サイドから田鍋、闘莉王とつながってきたボールを佐藤が豪快に蹴り込み得点を二ケタの大台に乗せると、後半のアディショナルタイムにも松田と田鍋がそれぞれゴールを決め、計12得点の得点ショーは幕を閉じた。名古屋は73分の永井と磯村亮太の交代を機に、ダニルソンを最終ラインに下げ、闘莉王をFWに上げるスクランブルプレーのテストまで行なう余裕の勝利。3回戦への切符を順当すぎるほど順当に手に入れた。

完膚なきまでに叩きのめされたトヨタだが、その戦う姿勢は見せた。実力差を考えれば11人が自陣に引きこもる戦い方も選択できた中で、DFのライン設定は決して低くなく、ボールに対して果敢に攻めた。60分にはファウルで無効となったが、CKから小池恭一がヘディングシュートでゴールラインを割ってみせた。会場に集まった応援団の人々からは「1点!1点!」の声が飛び、監督も「1点取って終わりたかった」と、健闘を称えながらもノーゴールに終わった点については残念そうな表情を見せた。トヨタ蹴球団はあくまで自分たちの戦いを貫き、散っていった。

3バックシステムの公式戦デビューとなった名古屋だが、その出来を問うような試合にならなかったのは残念なところだった。相手のシュートはわずかに6本、そのすべてがペナルティエリア外からのものだった。また永井は5得点を挙げたが、そのすべてが彼本来の持ち味を生かしたシュートではなかったのは気がかりといえば気がかりだ。なかなか得点に結びつかなった序盤戦を思えば、決めることに意義があったとも言える。しかし攻守両面でのミスが失点はおろかピンチにつながることすらなく、ただ個人能力の差ばかりが目立つ試合では、西野監督が「評価はできない。わからない」と繰り返したのも無理はない。何かを得るにはあまりに実力差のある対戦だったことは、やはり否めない。

それでも次につなげられる何かはあったのか。これはトップ下から試合を俯瞰していた矢田の言葉が明確だ。
「今日は相手が前から来ないから、逆に難しかったりもしたんです。食いついてきてくれればタイミングよく入れ替わったりもできるんですけど、それもなかったから。もっとコンビネーションでの崩しをやってもよかったかなと思います。僕もけっこうシンプルにサイドに出すことが多かった。ツートップが斜めに走ったら、相手のサイドバックがつられて逆サイドが空く。それは3バックの利点の一つで、けっこうダイアゴナルの走りが重要になってくるのかなと思いましたね。両ワイドが前に行けば5トップみたいになれますし」

西野監督は「Jの試合の中でさらに繰り返しやっていくことで3バックへのシフトの“意味”が見えてくる」と言ったが、矢田はそれを感じ取っていたということか。J1再開初戦へ向けてスタートさせた3バックへの再挑戦は、出だしはまずまずといったところ。次戦からは新加入のレアンドロ ドミンゲスも試合出場が可能になる。モデルチェンジを図った名古屋の真の姿はまだ見えていない。見えるのは、中5日で臨むホームのリーグ戦、徳島戦である。

以上

2014.07.13 Reported by 今井雄一朗
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