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【J1:第17節 名古屋 vs 横浜FM】レポート:それぞれのチーム事情が反映された勝点1。ともに3戦連続ドローでリーグを折り返した名古屋と横浜FMの、悩める日々は続く。(14.07.28)

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9日間で3試合、獲得した勝点はともに3である。1勝で得られる数字だが、名古屋と横浜FMは3つの引き分けでそれを手にしている。負けてはいないが、勝ってもいない。しかし両チームの試合内容を比較すると、その悩みの種は驚くほどに異なる。負けていないのが名古屋で、勝っていないのが横浜FMである。

名古屋はこの試合、後半勝負だったと西野朗監督は明かしている。横浜FMはAFCチャンピオンズリーグのため未消化だった1試合が7月15日に組み込まれ、リーグ再開後の消化試合数でいえば名古屋より1試合多い。季節は夏を迎え、選手の消耗度が上がる中でベテランの多い横浜FMのパフォーマンスが落ちることは、容易に想像がつく。この日の名古屋は涼しく、暑さというホームコートアドバンテージはなかったが、当然といえば当然の戦略ではあった。そこで田中マルクス闘莉王が今節も負傷で不在の中、指揮官は前節の後半で良い動きを見せた4-4-2の布陣を選択。さらには永井謙佑をあえてベンチに置き、玉田圭司とレアンドロドミンゲスを縦関係のツートップに据えた。サイドハーフは小川佳純と矢田旭。この4人の前線からイメージされるのはゆったりとしたボールキープと細かいパス交換による崩しの局面、つまりはメリハリの効いたポゼッションだが、この4人にある動きが欠けていたために、前半は圧倒的に横浜FMが支配することになった。

前半の名古屋に欠けていたのは、相手DFラインの裏へ抜け出す動きだ。小川はこの手の動きが得意なはずだったが、この日はダイナミックさに欠けていた。矢田は斜めに抜ける動きを少し意識できていたが、パスが出てこなかった。玉田とレアンドロは足元で受けてから、何かを起こす選手である。結果として、前線の“渋滞”が中盤の動きも制限し、最終ラインでの不毛なパス回しを繰り返す展開に陥った。4バックのセンターに入った大武峻は「縦パスのコースはあっても、完全に狙われているので出せなかった」と、攻撃のスイッチを入れようにも入れられなかったと証言する。意図のあるパス交換ができない名古屋はとりあえずフリーの選手に渡すだけのような無為なビルドアップに終始し、狙いを定めた横浜FMのディフェンスにことごとくボールをかっさらわれた。24分に横浜FMは先制点を挙げるのだが、それが遅すぎるくらいに名古屋の組織はガタガタだった。

その横浜FMにしても、優位な展開をうまく数字に結びつけられずにいた。自由にボールが持てるボランチの2枚と中村俊輔を中心とした緩急自在の攻撃は迫力こそあったが、フィニッシュに持ち込める数自体は多くなく、前半のシュート数はわずかに6本。名古屋の1本に比べれば圧倒しているものの、勝負を決める動き自体は少なかったとも言える。先制点は右サイドバックの小林祐三のクロスが左サイドまで流れ、うまくDFと入れ替わってトラップした齋藤学がマイナスに折り返し、最後は中村俊が右足で合わせたもの。ここまでは良かった。しかしリードを奪ってからは得意ののらりくらりとしたポゼッションから伊藤翔や齋藤の鋭い突破をアクセントに攻めたてたが、肝心のシュートにつながらない。中澤佑二は「このままじゃマズいと、(栗原)勇蔵と話していた」と、密かに嫌な流れも同時に感じていたという。

中澤の予感は現実になる。想定した動きができていなかったチームに対し、西野監督は後半開始からの交代策でテコ入れを図った。動きの鈍い小川と矢田に代え、選ばれたのは永井謙佑と松田力。前半のチームが何より必要としていた裏抜けを得意とするスピードのある選手たちである。まず後半開始からしばらくは松田が右サイドハーフに入り、前線は玉田と永井のツートップに。永井と松田はスペースを突く動きだけでなく、フォアチェックや空中戦でも奮闘し、停滞していた名古屋にフレッシュな勢いをもたらした。前半同様にカウンターを仕掛けるもシュートにつながらない横浜FMを尻目に縦への速さ、怖さを増し続け、72分に永井、73分には玉田が決定機を迎えている。77分には玉田に代えてまたも縦にスピードのある田鍋陵太を投入。これでさらに圧力を増した名古屋は82分、ついに同点に追いつくのである。

レアンドロの右からのコーナーキックを矢野貴章が頭で方向を変えると、ポカンと空いたスペースにフリーでいた永井が頭で合わせ、ボールはゴールマウスへ。小林祐三が「名古屋は流れがゼロでも1点が入る」と警戒していたセットプレーで、しかもマークのミスでフリーにした選手にやられたことで、横浜FMは沈黙した。交代策もさしたる効果を挙げられず、「勝ち切れる試合を進めていた」はずのアウェイチームはまたも勝点3が手のひらからこぼれた。つまり、勝てなかった結果としての、勝点1を獲得した。左サイドバックのドゥトラがこの日をもって引退するということでも欲しかった勝点3だったが、クラブが認めるレジェンドの去り際に華を添えることはできなかった。

負けなかった、つまり勝点1を拾った名古屋だが、そのことだけがポジティブな面であったことは否めない。それほどまでに前半の戦いは目も当てられない内容だったことは、誰より名古屋の面々が理解している。確かに前線の選手のタイプ的に偏りがあった点は考慮すべきだが、それでもそういった姿勢は見せられたはずだ。永井や松田のようなスピードある裏抜けができなくとも、裏に抜けること自体は誰にでもできる。それが一つの牽制にはなったはずで、楢崎も「試合中にもう少し修正できたと思うけどね」と苦言を呈したのはそういった点だろう。チームに必要なプレーを選択しきれなかったことが、前半の苦戦の原因だった。

名古屋も勝点3が取れない悩める日々が続く。現状打破への処方箋がフォーメーションなのか、戦術なのか、メンバーなのか。あるいはそれら全てなのか。中断期間に3バックに挑戦し、再開して3節目にして再び4バックに戻したチームは正直、もがいている。次節から後半戦に突入するが、現時点で順位は14位。17試合で勝点19は決して良い数字とは言えない。しかし経験の少ない若手が多い今季のチームには、この17戦1530分が大きな糧になっているのもまた確かだ。西野監督は以前、こう言っていた。「うまくいかないこともある、でも、もがかなければいけない」と。後半戦は、2位・鳥栖との対戦から幕を開ける。上位との対戦では自分たちのサッカーができないこともあるだろうが、そこでいかにもがけるか。そこに楢崎の言う「覇気」が加われば、底力が出てくる。名古屋の底力は、まだまだ発揮されてはいない。次節こそ、本来の強さを見せてほしい。

以上

2014.07.28 Reported by 今井雄一朗
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