1993年に地元の有志によって創設されたクラブが翌年の暮れに2度目の財政危機に陥った際、現代自動車が選手を引き取り、全北ダイノスとして再出発したのが始まりだ。

その後、2000年から会社名を冠して現在の名称となった。歴史は20年そこそこと浅いが、AFCチャンピオンズリーグが現行のフォーマットとなってから、2度の優勝と1度の準優勝を飾っている東アジア勢はこのクラブだけだ（広州恒大は2度の優勝のみ）。今や韓国だけでなく、東アジア地域を代表するクラブとして認知されている。

今年のACLでは、FC東京や江蘇蘇寧ら難敵と同居したグループを首位通過し、メルボルン・ビクトリー、上海上港、FCソウルを破って決勝進出。オマル アブドゥルラフマンを擁するアル・アインとのファイナルでは、壮絶な2試合をトータルスコア3-2で競り勝った。

国内随一の名将チェ ガンヒ監督が2005年から指導するチーム（2011～13年は一時的に代表を指揮）は、圧倒的な運動量をベースにした勢いのある攻撃的なスタイルを持ち味とする。本国で“タッコン・サッカー”（タッチゴ＝ひたすら、コンギョク＝攻撃）と呼ばれる波状攻撃は、今オフの大型補強により鋭さを増し、チームを目標としていたアジアの頂点に導いた。

スクアッドには韓国代表クラスと質の高いブラジル人選手がひしめく。Ｊリーグでプロデビューしたキム ボギュンと生え抜きのイ ジェスンの代表コンビが中盤でゲームをつくり、ギリシャでキャリアを形成してきたブラジル人のレオナルドがフィニッシュに絡む。そして百戦錬磨の大ベテラン、FWイ ドングの存在も心強い。37歳のストライカーは今オフに加入したキム シンウクにポジションを奪われがちだが、どんなときもコンディション調整に抜かりはなく、出番がくれば自らの仕事に全力を尽くす。5年前にはACL決勝でPK戦の末に敗れており、クラブワールドカップは今回が初となる。

「世界中の最強クラブとの対戦を心から楽しみにしている。とはいえ、どんな大会でも初戦が最も重要なので、クラブ・アメリカとの試合に集中するよ」

主将で正守護神のクン スンテが負傷で不参加となった今、このベテランの存在はことのほか貴重になる。「もちろん、レアル・マドリーと戦いたい」と言った生けるレジェンドは、キャリアの集大成となる今大会で何を見せてくれるだろうか。