11月3日（木・祝） 第85回天皇杯　4回戦
浦　和　2-1　山　形（13：00/駒場/15,772人）
得点者：10' 林 晃平（山形）、55' マリッチ（浦和）、57' マリッチ（浦和）
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「難しい試合になるだろう」そう想像したと山形・鈴木淳監督は試合後にコメントしたが、「難しい試合になる」という予想は浦和も同じだった。三都主が「相手が引いていて、攻めることが難しかった」とコメントしたとおり、永井、田中達也を欠くとは言え、浦和の攻撃力を前に相手が引いて守りカウンターを狙ってくることは容易に想像がついたはずだ。お互いに想像通り難しい試合を戦い、結果2-1で浦和が勝利。「典型的なカップ戦。うちが勝ったのは順当勝ち」とブッフバルト監督はこの試合を振り返った。

観戦するにはやや肌寒い気温22度、曇り空の下15,772人が駒場スタジアムに詰めかけた。アウェイスタンドには多数の山形サポーターが陣取り、スタジアムを盛り上げる。前半は山形ペース。4-4-2の右サイドに入った佐々木、臼井がスピードに乗り、サイドを崩す。中央には長身・阿部が控え、小回りの効く林がかき回す。開始早々の10分、いとも簡単に浦和の左サイドは崩され、臼井からのクロスが中央の林へ。林のヘディングがネットに吸い込まれ山形が1点を先取する。

このまま、前半はほぼ山形の「プラン通り」（鈴木監督）。公式記録上は同数の6本ずつのシュートを放つが、決定機は山形のほうが多かった。浦和は、ポンテ、マリッチがまったくといっていいほど自由にさせてもらえず、通常より高めの位置に入った長谷部も機能しきれず。山形の鈴木監督は「うちの戦力と浦和の戦力を考えると、いい戦いができたと思います」と敗戦にも手応えを口にしたが、山形が完全に主導権を握った前半だった。

しかし後半、浦和が意地を見せる。前半の反省から両サイド酒井、三都主が高い位置で起点となり、チャンスを作り出す。55分、マリッチの同点弾は右サイドの突破から。一度はマリッチが打ち切れず、クリアされたボールを拾い直し、酒井が前線のポンテにパスをつなぐ。ゴールライン際で追い付いたポンテがそれを折り返し、エリア内に詰めてきたマリッチが左足ワンタッチで流し込んだ。そして、ここからがさすがと言わせる浦和の展開。この2分後に追加点を決め、山形を突き放す。これも右サイドを崩した長谷部からのクロスに、中央でマリッチがヘディングで合わせたもの。前半から飛ばした山形は後半に入り足が止まり、プレスも甘くなり、特徴のひとつである鋭いカウンターも影を潜めてしまった。結果、短い時間にたたき出した2得点で浦和は辛うじて山形に勝利を収め、無事5回戦進出となった。

山形が中2日で迎えるこの週末のリーグ戦（11/6）は、勝点差5で追う仙台とのみちのく決戦が待つ。そのため原竜太を温存し、佐々木を途中でベンチに下げるなどの処置を施し「難しい試合」となってしまった。ただ、Ｊ1の3位チーム相手ということで選手たちのモチベーションは高かったよう。
「リーグ戦が大詰めだったので、天皇杯へのモチベーションは微妙だったか」と聞かれた桜井が「え？　そんなことは全然ないですよ」と答えたのが印象に残った。「リーグ戦と天皇杯は違う」としながらも「この戦いが出来れば、Ｊ2でも勝てると思う」と指揮官。このところの負けの込んだ状態から脱出をはかり、昨年は目前で逃したＪ1との入れ替え戦を戦える3位の座をつかみたい。

一方の浦和は「結果が全て」（ブッフバルト監督）の試合。こちらも来週末（11/12）には首位・G大阪との対決が待つ。ここに照準を合わせ、今日の勝利後にチームは2連休をとることとなった。
上位進出、優勝をねらう両チームにとって、弾みの一戦となったか否か。シーズン終了時の答えを楽しみにしたい。

以上

2005.11.03 Reported by 了戒美子