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【J1:第34節 磐田 vs 川崎F】レポート:決めるべき選手が、決めた。両クラブのブラジル人FWにゴールが生まれたメモリアルな一戦はどこまでも熱く、どこまでも寂しかった――。(11.12.04)

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12月3日(土) 2011 J1リーグ戦 第34節
磐田 2 - 1 川崎F (15:34/ヤマハ/12,349人)
得点者:17' ジウシーニョ(磐田)、43' ジウシーニョ(磐田)、52' ジュニーニョ(川崎F)
スカパー!再放送 Ch182 12/4(日)後10:30〜
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どう転んでも優勝争いに絡む可能性がない会場だったが、ここでしか見られないドラマがあった。ゴールを決めるべき人が、決めた。観る者の感情を高ぶらせるにはこれ以上のゲームはなかった。試合後、高揚感がスタジアム全体を包み込み、哀愁へと変わる。2011年シーズンのリーグ戦全日程が、ここに終了した。

試合終了のホイッスを耳にした磐田・ジウシーニョは喜びと悲しみが複雑に絡み合ったという。
「4年間、素晴らしいサポーターのみなさん、素晴らしいクラブ関係者のみなさんに支えられてプレーしてきました。そういったことが思い出されて、もう終わりなんだなと寂しい思いが込み上げてきました」。

相手チームにも特別な思いを胸に抱く者がいた。「(サポーターに対して)感謝の気持ちをどれほど言っても言い尽くすことはできません。9年間ここにいれたことはみなさんのおかげでした。この試合、フロンターレのシャツを着てゴールを決めることができてよかったです」(川崎F・ジュニーニョ)。

試合を終えてもなお、両者にはそれぞれのサポーターから絶え間ない声援が送られていた。監督会見も独特なムードがあった。磐田での最後の采配となった柳下正明監督はいつもと変わらず、実直にゲームを総括し、収穫と課題を整理しながら言葉を並べていく。自身2度目となった磐田での監督生活も振り返った。ここまではいつもの通り。そして、一通り総括を終えると、ふと、笑みを浮かべた。「まだ若いので就活して次の道を探します(笑)」。3年間抱えてきた肩の荷が下りた瞬間だった。

今季リーグ戦を締め括るに相応しい濃密なゲームだった。
ジウシーニョが主審から手渡されたボールを大事そうに抱え、そっとセンターマークに置く。一瞬の静寂の後に自らセットしたボールを右足で転がし、磐田ボールでゲームが始まった。早朝に降っていた雨も、強く吹いていた風もいつしか止んでいた。高い確率で雨が降るという予報はものの見事に外れたが、今日ばかりは当てにならなくていい。気温も12月上旬にしては温かく、厚手のコートはかさばる荷物となった。かくして、それぞれの場所で、それぞれの思いで、最後の90分が始まった。

前半45分間は磐田が中位とは思えないほどの力強さを見せた。前田遼一(出場停止)、山崎亮平(負傷離脱)という主力2トップを欠く攻撃陣をリードしたのは右サイドの西紀寛、駒野友一だった。チームのストロングポイントである右からのサイド攻撃で相手を圧倒する。先制点が生まれるのは時間の問題だった。

17分、駒野友一のクロスボールを金園英学が空中戦で杉山力裕と競り合い、そのこぼれ球を那須大亮がシュート。杉山が辛うじて弾いたボールはこの日の主役の足下へ転がっていく。「ちょっとショートバウンドのボールでしたが、うまく合わせることができました」(ジウシーニョ)。右足を一閃。ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さった。43分には駒野友一のCKをヘディングで豪快に叩き込み、この試合2点目。ラストゲームで2ゴールはあまりに劇的すぎる。「“スーパー・ハッピー”」。喜びをそう表現すると、自分でも驚いていた。

一方、もう一人の主役も黙ってはいない。
川崎Fでのラストゲームとなるジュニーニョは後半、躍動した。52分、田坂祐介のCKを川口能活がファンブル。守護神が「余計なことをしてしまった…」と悔んだワンプレーを見逃さず、こぼれ球を押し込み、1点を返す。すると「試合前から決めていた」という背番号10は迷わずホワイトのユニフォームを脱ぎ、ゴール裏へ投げ入れた。警告を受けるはめにはなったが、9年間もの間クラブに在籍してきた彼にとって、サポーターに感謝を伝えるための粋な演出だった。

多少強引なプレーでも有り余るガッツと勢いで押し切ってしまうジウシーニョとは対照的に、ジュニーニョはまさにサッカーセンスの塊である。絶妙なタイミングで前線から中盤へ下ってパスを引き出し、攻撃の起点を作る。反転するテクニックは健在であり、前を向けばドリブル、パスと幾多の選択肢が広がり、相手の手を焼かせる。中村憲剛との息の合ったコンビネーションもわかっていても止めることは難しいほど高いレベルだ。34歳となった今も“個”で違いを生み出せるJリーグで数少ないプレーヤーであることに変わりはなく、観る者の心を躍らせた。

一歩及ばず、1-2で敗れた相馬直樹監督は「ジュニーニョのラストマッチということでどうしても勝って送り出したいという思いがあった」と悔やんだが、2点を追う後半に見せた攻撃の質は見事であり、勝敗は紙一重だった。天皇杯でさらなるチャレンジを見せてもらいたい。

天皇杯ですでに敗退している磐田にとっては早すぎるオフシーズン到来だ。ヤマハスタジアムでのゲームもしばらくない。来年はこの場所でどんなドラマを見ることができるだろうか。来季へのカウントダウンはあまりに長い――。

以上

2011.12.04 Reported by 南間健治
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