前節（第14節）は町田を相手に６−１（千葉の得点者はＭＦ田中佑昌＝３点、ＦＷ藤田祥史＝２点、ＦＷ深井正樹）と大勝し、Ｊ２降格後では初の４連勝を果たした千葉。だが、試合内容を振り返ると、町田がボールを保持する時間が長く、千葉が主導権を握っていたとはいえなかった。それについては千葉の木山隆之監督も選手たち自身も自覚している。

特に前半は相手のサイド攻撃に押し込まれ、そこから中への展開でピンチになることが多かった。ＭＦ佐藤健太郎は「（プレスをかけるための）スイッチをどこかで入れた時に相手の攻撃のコースを限定するようにして、攻撃の方向を変えさせないことが大事だと思う。後半はプレスに行ける時に集中して勢いを持って行けたので、何度かボールをいい形で奪って速い攻撃につなげてチャンスを作れた。でも、前半はボールを奪うための狙いどころがなかなかハッキリしなくてズルズルいってしまった」と反省。また、攻撃ではサイドを攻め上がっても、その形からの得点機はなかなか作れず、町田の守備陣の隙を突き、高いディフェンスラインの背後の中央のスペースへ飛び出した形で得点を重ねた。深井は「（自陣に引いて守るのではなく）町田のように真っ向勝負するチームは少ない。相手にしっかり守られた時にどう崩して得点するかが、まだ課題だと思う」と話した。ただ、これまでは藤田や深井などが相手の背後のスペースへの飛び出しを狙う動きをしても、いいタイミングでパスが出てこないことが多かったが、町田戦ではその形で得点した。藤田は「町田戦はスペースが空き過ぎていたのもあったけど、パスをつなぐだけではなく、相手の裏も狙わないと点は取れないと思うので、これからもパスを要求していきたい」と話した。

千葉は５月17日には、通常のピッチサイズよりも小さい中で、攻撃の時はワンタッチなどタッチ数を制限し、守備の時はフリータッチで、速いボール回しで相手をいかにかわしてシュートまで持ち込むか、そういった中でいかに連動してボールを奪うかを練習。全体練習後に木澤正徳コーチの指導で練習していた右サイドバックのＤＦ大岩一貴は、「いつも木澤コーチにマンツーマンでＳＢの極意を教えてもらうんですけど、今日はボールの止め方や置き方、ポジショニングを学んでいました。前節はサイドから打開することができなかったので、次の試合ではトラップや相手をかわして行くところを工夫して、ゴールはもちろんですけど、クロスボールで得点をアシストしたいです」と意気込みを語った。

熊本は第６節岐阜戦での３−０の勝利以来、５分３敗と苦しんでいる。その８試合での得点数はわずかに１と深刻な得点力不足だが、前節の甲府戦ではセットプレーではこぼれ球を拾ってのシュートやダブルボランチのＭＦの藏川洋平や原田拓の豪快なミドルシュートで得点機を作った。千葉は特にセットプレーのこぼれ球から失点するケースが目立つだけに狙いどころといえる。また、千葉は今季、岡山、松本、富山と３バックの相手が自陣でブロックを作って守るのに対して苦戦していた。熊本は直近５試合（４分１敗）に限っては失点数が３で、スコアレスドローが３試合と、得点できない一方で失点しない試合が目立つ。今節はプレースキッカーを務める原田が前節の退場処分で出場停止となるのは痛いが、粘り強く守りながら得意なサイド攻撃からも決定機を作ってモノにしたい。

「１試合、１試合勝っていくことが大切」と話す千葉の選手が多いが、「連勝しないと優勝できない」（ＤＦ山口智）というのもある。千葉が５連勝を達成できるかはもちろん、『10,000人プロジェクト』をやらなくても１万人以上の観客が集まるかにも注目したい。

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2012.05.19 Reported by 赤沼圭子