今季の明治安田生命J1リーグも残すところ5試合となった(すでに第31節を消化した広島と浦和は4試合)。勝点59の鹿島が首位に立ち、FC東京が追走する。その2強に横浜FMが迫っており、4位の広島、5位のC大阪、6位の川崎Fにも数字上では逆転優勝の可能性が残されている。
混沌とする今季の優勝争いは、果たしていかなる決着を見るのか。ここでは上位6チームの今季のスタッツから、それぞれの強みと弱みを浮き彫りにしていく。
まず鹿島は6つの項目でリーグトップの数字をはじき出している。「前半15分までの得点」が1位タイで、「無失点勝利数」もリーグトップ。「先制時の勝率」も1位タイで、先行逃げ切りの戦いを実現していることが窺い知れる。一方で「後半30分以降のセットプレー失点」はリーグで2番目に多く、逃げ切りスタイルをさらに強固なものにするためには、このポイントに修正が必要だろう。
2位のFC東京は「先行突き放し型」と言えるかもしれない。「2点差にした得点」はリーグ2位で「同点となる失点」の数は最も少ない。一方で「逆転勝ち試合数」もトップを記録しており、たとえ先制されても逆転できる勝負強さも備える。「与えたPK」がひとつもないのも特筆すべきだろう。逆に弱みと見られるのは、自陣での空中戦。アウェイでの得点の少なさも気がかりなポイントだ。
2チームを追いかける横浜FMは、「得点」「シュート数」「ドリブル数」「ボール支配率」など多くの攻撃スタッツでリーグトップを記録している。その攻撃スタイルのベースとなっているのは「走力」だろう。「平均走行距離」「平均スプリント回数」はともにリーグトップを記録。また「オフサイド奪取数」も1位と、高いラインを保ちリスクを負った戦いを演じていることが分かる。
逆にマイナス要素は「前半15分までの失点」の多さ。立ち上がりに隙を見せる傾向があるだけに、残り5試合では試合の入り方に細心の注意を払いたい。
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広島は「ショートカウンターからの得点」が1位タイで、「クロス成功数」もリーグトップ。「後半開始から15分までの失点」はひとつもなく、隙を見せない戦いを実現している。ただし、パスをつなぐ意識が高い一方で、「相手に奪われた横パス数」が最も多いため、危険な位置でボールを失い、ピンチを招くケースには気を付けたいところだ。
C大阪は守備の項目が際立つ。「失点」はリーグ最少で「前半の失点」はわずかに3つのみ。「無失点試合数」も13回でリーグトップを記録する。「自陣PA内でのクリア数」も最も多く、無理してつながず、セーフティファーストの意識の高さが窺える。
一方で攻撃面には課題を残す。とりわけ看過できないのは、「ビハインド時の得点」がひとつもない点だ。つまり先に点を奪われると逆転どころか、追いつくこともできていないのだ。また「失点のセットプレー比率」が高いのも気がかりな点。流れの中ではしっかりと対応しながらも、一発のセットプレーに沈む展開は今後も考えられるだろう。
3連覇を狙う川崎Fは今季も攻撃的な戦いを演じている。なかでも「連続でパス5本以上つないでからのゴール数」は17もあり、川崎Fらしいパスワークは健在だ。「パス数」「アタッキングサード(ピッチを3分割にしたときに、相手ゴールに近い3分の1のスペース)でのプレー数」などもリーグ1位を記録しており、攻撃スタイルを貫いている。
しかし過去2シーズンと比べて結果が伴わない原因は、セットプレーと空中戦の弱さに見出せるかもしれない。また「同点となる失点」も多く、リードを守り切れない戦いが目立っている。
データ提供:データスタジアム