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【第84回天皇杯決勝:東京V vs 磐田 レポート】ボールと人が動くサッカーを見せられず、天皇杯連覇を逃した磐田(05.01.01)

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1月1日(祝)第84回天皇杯全日本サッカー選手権決勝

東京V 2 - 1 磐田 (13:32KICK OFF/国立/50,233人)
得点者:'35 飯尾一慶(東京V)、'53 平本一樹(東京V)、'77 西紀寛(磐田)
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 後半8分、昨年の天皇杯優勝をケガのために経験していない日本代表ボランチ・福西崇史がキープすべきボールを東京ヴェルディ1969のFW平本一樹に奪われた。スピードあふれるドリブルで疾走する若きストライカーを名波浩が、田中誠が、鈴木秀人が止めにかかるが、振り切られてしまう。次の瞬間、ジュビロ磐田にとって致命的な2点目が相手に転がり込んだ。「オレのせい。申し訳ないです。中盤勝負だと分かってたのに、取られたオレが悪い」と福西も自分を責めるしかなかった。この1点が勝負の行方を決めたといっても過言ではないだろう。彼らにとってアジア、世界への大きな弾みになるはずだった天皇杯連覇の夢は残念ながらついえた。
 
 2004年シーズンの最後を飾るとともに、2005年の到来を告げる第84回天皇杯決勝が元日の13時30分から東京・国立競技場で行われた。2年連続3回目の優勝を狙った磐田だったが、若さと勢いのある東京Vに1-2で惜敗。無冠のまま今季を終えることになった。
 
 大晦日に東京を襲った大雪も止み、青空が広がった2005年最初の日。磐田では美しい初日の出も見られ、ジュビロの明るい未来を祝福しているかのようだった。東京・国立競技場には5万233人の大観衆が集まったが、磐田からもバス17台の応援ツアーをはじめとした大勢のサポーターが駆けつけた。
「天皇杯はあくまで来シーズンへの通過点」と控え目な山本昌邦監督だが、「AFCアジアチャンピオンズリーグ、世界クラブ選手権につながる重要なタイトル。粘って勝ちにいきたい」と強い意気込みを持って決戦の地へ乗り込んできた。この日のスタメンはGK佐藤洋平、DF鈴木秀人、田中誠、菊地直哉、ボランチ・福西崇史、服部年宏、右サイド・河村崇大、左サイド・西紀寛、トップ下・名波浩、FW前田遼一、グラウ。準決勝・浦和レッズ戦と全く同じだ。藤田俊哉、中山雅史、川口信男は、予想通り「切り札」としてベンチからスタートした。

「ボールと人が動く小気味いいサッカー」を志向する前年王者が序盤から主導権を握ると思われたファイナル。が、ふたを開けてみると、若く勢いのある東京Vに押されがちな展開を強いられる。小林大悟、小林慶行らが軸となるスピーディーなパス回し、左サイド・相馬崇人の強引なドリブル突破とクロスを思うように抑えられない。田中がコントロールする最終ラインも平本、飯尾のスピードに翻弄される場面が目立った。結果として何度か決定機を作られてしまう。「中盤との守備の連係がうまくいかなかった。中盤の前のところにスペースができてしまったうえ、ボールの失い方も悪かった」と、この日ばかりは強気の菊地も反省を口にするしかなかった。
 そんな流れから東京Vに先制点を奪われる。前半35分、小林大のFKからだった。前日練習でリスタートの守備を徹底確認していた磐田だったが、この日は何度か平本の飛び出しを許した。この場面もそう。平本のヘディングシュートは幸いにしていったんポストを叩いたが、こぼれ球を飯尾に拾われ、ゴールに押し込まれる形になった。
「前半は少なくとも0-0で行きたかった」と河村は悔やんだ。けれども磐田にはまだ運があった。前半終了間際に東京Vの攻守の要・小林慶が2枚目の警告で退場したからだ。早い時間帯に数的優位に立った彼らには十分チャンスと思われた。

 山本監督も「まだイケる」と自信を持っていたに違いない。後半頭から前田に代えて中山を投入。まずは1点を狙いに行った。実際中山は精力的に前線を動き、チャンスを作ろうとした。しかし完全に流れを変えきらないうちに、不用意なミスから追加点を献上してしまう。「2点目が全てだったね。1点目だけなら時間もたっぷりあったし、問題なかったけど」と、平本を止められなかった鈴木も悔しそうに言った。
 それでも前年王者のプライドにかけて勝負を投げるわけにはいかない。しかも2点差というのは、東京Vにとってセフティリードではない。そう自覚するアルディレス監督は選手たちを自陣に引かせ、人数をかけてペナルティエリア内を固める作戦に出た。磐田としてはこの分厚い壁を何とかしてこじ開けないといけない。山本監督は2枚目の切り札として川口を起用する。最終ラインを4枚にし、川口を左MF、西を右MFに置いたのだ。福西も前線に上がる格好になった。この超攻撃的布陣が功を奏し、福西がたびたび前線でシュートチャンスを迎えた。が、この日の彼にはどこまでも運がない。結局、ゴールネットを揺らせないまま時間がすぎた。
 
指揮官はついに最後の交代枠を使い、藤田を投入する。けれどもこの時すでに磐田イレブンは焦燥感でいっぱいだった。「みんなアツくなっちゃって、前に人がいすぎた。自分も前線で絡みたかったけど、スペースがなさすぎた。もう少し早く出ていればまた違ったのかもしれないけど」とエースナンバー10を背負う男も苛立ちを隠せなかった。
リスクを冒した怒涛の攻めの結果として、後半32分には混戦からようやく西が1点を返すことに成功する。しかし疲労困憊の磐田にはこれ以上の力は残っていなかった。ベンチ入り16名の平均年齢で東京Vを約4歳上回る彼ら(東京V:24.4歳、磐田28.2歳)にはフィジカル面でもハンディキャップがあったのかもしれない。10人の東京Vに抑え切られ、タイムアップの笛を迎えた瞬間、彼らは何を思っただろう。喜びを爆発させる東京Vイレブンの傍らで西がピッチ上で倒れながら天を仰ぎ、名波もガックリと座り込む姿が全てを表していた。ここ数年の日本サッカー界をリードしてきた「常勝軍団」の敗戦に寂寥感が漂った。

とにかくこの日の磐田は、山本監督が目指している「ボールと人が動くサッカー」ができなかった。簡単にボールを失い、自らリズムを崩していった。かつて鉄壁を誇った最終ラインも疲れからか精彩を欠き、2トップの決定力不足もチーム状態に追い討ちをかけた。それでも救いは今の磐田にとってこの大会が「最終目標」ではないこと。山本監督が就任し、本格的なチーム再建が始まってからまだ2ヶ月しか経っていないのだ。指揮官も「選手1人1人のポテンシャルを再確認できた。来季につながる内容だったと思う」と前向きに話した。しかも彼らには来季AFCアジアチャンピオンズリーグ出場権がある。2005年シーズンはアジアを視野に入れつつ戦うことができるのだ。
「今日は力も運もなくて負けてしまった。来季は絶対に結果が必要。この悔しさがあったからこそというものを見せたい」と、今年38歳になる中山は力強く言い切った。その言葉通り、天皇杯決勝の敗戦を「常勝軍団復活」のきっかけにするしかない。

以上

2005.01.01 Reported by 元川悦子
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