9月17日（土） 2005 J1リーグ戦 第24節
大宮 0 - 1 千葉　（15:04／大宮／7,881人）
得点者：'81 佐藤勇人（千葉）
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昔から大宮公園サッカー場の芝は深く、そして美しい緑色に整えられており、Jリーグの会場の中でも1、2を争うコンディションの良さを誇っていた。ところが、先日の豪雨の影響により、この日の芝は深刻なダメージを受けていた。

千葉の巻誠一郎は「足元が難しかったので、ロングボールが多くなるかもしれない。前で起点を作ってくれと言われていた」とオシム監督からの指示を振り返る。実際にその言葉通り、千葉はロングボールが多いサッカーとなっていた。

「今日の前半は何も考えたくはない」という言葉で、内容の悪さを言い表した千葉のオシム監督は、その理由の一つとして「戦術的にも大宮はすごくいプレスをしていました」と大宮アルディージャの守備の良さについて言及している。実際、大宮の前戦からの守備は鋭く、それが決定的な場面を生み出した。

前半9分。千葉はやってはいけないパスミスでボールを失うと、横山聡と山下芳輝のコンビで鋭いカウンターを受け、横山に決定的なシュートを放れる。また38分にもミスで失ったボールを山下に持ち込まれGKとの1対1を作られた。オシム監督は「プロの選手としたら考えられないミス」と語る。

羽生直剛によると、芝の悪さからトラップに意識を集中させざるを得ず、それ故にボールタッチの回数が増えた事が大宮の前からのプレスをまともに受ける結果につながったとのことだった。

大宮にしてみれば、悔やんでも悔やみきれない2本のシュートミスだったが、このミスが試合の行方を左右する。

17節以降前半での失点が続いていた大宮は、金澤慎に言わせると前半を0-0で乗り切った事自体は悪くないという評価だったという。しかし「彼らが全員走れるうちはすごくアグレッシブにチームとしていいプレーをしていました」とオシム監督に言わしめた大宮のサッカーは、後半に入ると共に下降線を描いていく。一つには藤本主税の運動量が落ちてきた事。もう一つは千葉が前半を受けて多少のフォーメーションチェンジと選手の役割を変更させてきた事にある。

千葉はボランチで先発させた坂本將貴を左サイドへと移し、右サイドで先発させた佐藤勇人をボランチに移した。また、大宮の1トップに合わせて最終ラインを2枚に減らし、前への圧力を高める。そんな修正が大宮の運動量の低下と共に試合をわずかながら動かした。わずかながら、と書いたのは、そうした修正を経ても、お互いに守り合う構図は変わっておらず、試合展開が大きく変化することはなかったからだ。

大宮の守備を安定させた最大の功労者は、この日センターバックに入ったトニーニョだった。奥野誠一郎はトニーニョとのコンビについて「一概には言えないと思う。回りとのかねあいもありますしね」と振り返ったが、千葉の攻撃を跳ね返し続けたのはトニーニョだった。

運動量の落ちた藤本に代わり、大宮は後半から右サイドの久永辰徳を中心に攻撃を組み立てたが、最後の数メートルの精度が低く決定的な場面を作り出すまでには至らない。それはトニーニョを中心とした守備陣に抑え込まれ続けた千葉も同様だった。

お互いに煮え切らない試合だったが、唯一の得点は81分に生まれる。前半1本。後半3本のシュートしか放てなかった千葉にとって、この場面での佐藤のシュートが、この試合唯一のゴールを生み出した。

三浦俊也監督は「この内容のゲームであればぜひ勝ち点3が欲しかったと思います」と悔しさをにじませたが、結果は結果。前半の2度のビッグチャンスさえ決めておけば結果は大宮の快勝に変わっていたはず。つまり結果としての勝敗は、どちらのチームが「勝ちきる力」を持っていたのかに左右された形だ。試合内容自体は低調なものだった。

大宮は昇格初年度の前半戦の勢いが完全に止まってしまった形。自動降格圏の勝ち点が徐々に上がる中、足踏み状態が続く現状は苦しい。一方の千葉は、この勝利によって暫定的に4位まで順位を上げ、優勝に望みをつなぐ勝ち点3を手にしている。

以上

2005.9.17 Reported by 江藤高志