6月4日(土) 2011 J2リーグ戦 第15節
横浜FC 2 - 1 東京V (15:04/ニッパ球/4,442人)
得点者:25' 深津康太(東京V)、48' 高地系治(横浜FC)、49' 高地系治(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch185 6/5(日)後09:00〜
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改めて書くまでもなく、サッカーはゴールを奪い、同時にゴールを守るという2つの営みを両立させながら、90分を経過した後に相手よりゴール数が上回ることを目指すスポーツ。この両立のために、戦術を考え、日々トレーニングを行う。しかし、戦術が選手を、そしてチームを「頭でっかち」にしてしまうことが往々にしてある。この試合では、「頭でっかち」を上手く取り去ることができた横浜FCが、劇的な逆転勝利を収めた。
前半はともにシュート数3本と、両チームとも頭でっかちが支配する状態。共に、ボールをポゼッションしながらゲームを展開するスタイルだが、それをうまくやろうとするあまり、ダイナミックさには欠ける展開となった。それでも、早い時間の失点が大きな課題となっていた横浜FCにとっては、無失点で試合を進めていくことは悪いことではなかった。しかし25分、またも先制を許してしまうことになる。CKのクリアボールを福田健介が左サイドに大きな展開、そして菊岡拓朗が上げたクロスは応対した荒堀謙次の足に当たり方向が変わる。中で待っていた朴台洪がクリアできないと、ファーに走り込んだ深津康太が決める。
横浜FCにとっては、「またか」と思ってしまう展開。さらに42分、カウンターを阻止するために高い位置でプレッシングに行った八角剛史が2枚目のイエローカードで退場してしまう。前半は0-1で終了するが、ハーフタイムに戻ってくる選手の顔には、閉塞感が漂っていた。
しかし後半に訪れる逆転劇の予感は、両チームのロッカールームに存在した。それは、1人少ないことによる役割の明確化と、運動量の向上。岸野靖之監督が「全員がいつもの2倍動いて相手を上回ろう」と檄を飛ばし、川勝良一監督が「うちが北九州戦で退場が出た同じような状況で、選手が単純に走り出して一体感ができるので、それに対してうちが下回らないよう」にという指示を与える。さらに、ゲームを4-1-4-1でスタートさせた横浜FCは、DFを1人削った3-1-4-1のフォーメーションとし、高地系治と寺田紳一を投入。攻撃的な姿勢を明確にした。
そして後半開始早々から、横浜FCの選手から頭でっかちが消えて攻守にわたって一歩も二歩も前に出るようになる。その姿勢が48分に結実。野崎陽介が出したスルーパスに高地が反応。足元に入りすぎたため、一度はシュートコースを消されるが、巧みに左足に持ち替え、狭いニアサイドにボールをねじ込み同点ゴールを挙げる。そして、その1分後に横浜FCが左サイドで効果的なプレッシングをすると、中央に戻したボールを荒堀がカット。荒堀は、裏に走り抜けようとしていた高地にパスを出すと、高地はキーパーの動きを冷静に見ながらアウトサイドでゴールにボールを流し込み逆転に成功する。
逆転後は、1人多い状況から東京Vが横浜FCを押し込む展開となる。しかし、東京Vの頭でっかちは解消されず。ボールを持って、中央で変化を付けられる場面でも、必ずと言っていいほどサイドに展開。サイドでは数的優位を作ることができずに、1人多いというアドバンテージを生かすことができない。75分に横浜FCは、森本良を投入し、再び4バックで守備のバランスを整えると、東京Vはその守備を崩し切れなかった。「押し込まれたけど、最後の所は絶対にやらせないようにと声を掛けていた」(森本)というように、守備でも迷いの消えた横浜FCが、逃げ切りに成功。今季ホーム初勝利、そして岸野監督になって初の逆転勝利を収めた。
今週のトレーニングの際に「このチームが本当に強くなったと言えるのは先制されて逆転勝利をした時。でも、試合ではそういう先制される展開になってほしくないけど」と岸野監督は語っていたが、期せずしてその逆転勝利を手にした。これまで、先制されると心理的に大きく落ち込んでいただけに、この1勝が選手にもたらす自信は計り知れない。「どうすれば勝ちに繋げられるか、そういう形が1つチームでわかったと思う。10人でできることは11人でもできるはず。これを次にできるかが重要」と殊勲者の高地が語るように、退場などのアクシデントの刺激がなくても、戦術を生かすダイナミックな動きができるか。次の試合でその成長を見せられれば、横浜FCに将来への展望が開けてくる。
一方の東京Vは、ハーフタイムに警戒していたことを許してしまったという点で、大きな課題が残る試合となった。そして、後半に人数のアドバンテージを生かせなかったことも課題。川勝監督は「2桁シュートを打たないと」と試合後嘆いたが、サイドに付けるだけでなく、ゴールへの直接的な動きが少なかった頭でっかちな点をいかに解消するかが問われるだろう。
久しぶりにニッパツ三ツ沢球技場は、勝利の際に歌われるビューティフルネームが鳴り響いた。これまで、心理的な部分でビハインドを負っていただけに、その悪循環を断ち切るターニングポイントとなることを願いたい。
以上
2011.06.05 Reported by 松尾真一郎
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