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【J1:第11節 名古屋 vs 横浜FM】レポート:いかにリスクを負い、リスクを管理するか。名古屋が横浜FMに逆転負けを喫し、今季最低の14位にまで後退(13.05.12)

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前節の敗因を試合前の準備に求めるなら、今節の敗因はリスクマネジメントということになる。仙台戦の反省をトレーニングに落とし込み、指揮官が主力とのコミュニケーションを密にして臨んだ横浜FMとの一戦における名古屋は、敵将も「本当に力のあるチームだと思った」と評する内容を実現したが、危機管理の甘さが結果を真逆にした。

前半から両者のリスクを冒す姿勢がピッチ上でぶつかり合った試合だった。その号砲となったのは横浜FMの守備だ。名古屋がキックオフからのボールを一度DFラインに下げ、すぐさまボランチに渡した瞬間、小椋祥平が激しくチャージを仕掛けた。「ボランチがボランチのボールを奪いに行くのがウチの良い時の守備なので」(小椋)。4試合連続勝ち星のない横浜FMの意気込みが、試合のテンションをいきなり最大限に引き上げた。

相手のハイプレスに最初は面喰った名古屋だが、こちらも連敗中で意気込みや危機感では負けてはいない。プレスをいなしつつもサイドを起点に反撃を仕掛け、10分には左サイドからケネディの決定機を演出する。これで波に乗ると、徐々に横浜FMの攻勢を押し返していった。中心となったのは小川佳純、玉田圭司、藤本淳吾ら攻撃的MFたちだ。彼らが流動的に、また近い距離感を保ってプレーし、スピーディーで円滑なパス回しで相手を翻弄した。小川や藤本はピッチの横幅だけでなく、DFラインの裏を狙う動きも積極的で、それがそのままプレス回避の一手になっていたのも見逃せないポイントだ。名古屋は連敗した前2戦にはなかった、リスクを負った前への姿勢でハイプレスの脅威に立ち向かい、形勢を立て直したのである。前半のシュート数は両チーム5本ずつと互角だったが、攻め込んでいる回数は名古屋が上だった。

やや名古屋優勢で折り返した試合は後半になってさらに加速する。名古屋は50分に得たFKを高さではなく縦に送り込み、ペナルティエリアに侵入した小川が小椋に倒されPKを獲得。これをケネディがきっちり決め、まずは欲しかった先制点を手に入れる。すると横浜FMの樋口靖洋監督はすぐさま温存していた齋藤学をピッチに送り込み、兵藤慎剛をボランチに下げるスクランブル策に出た。ハーフタイムに「ドリブルでボールを運べ」という指示を出した上でのドリブラー投入は思惑通りの効果を発揮し、63分には盛り返した横浜FMの攻撃に圧されるように名古屋が単純なミスからCKを献上。中村俊輔の正確なキックにマルキーニョスがゴール中央で合わせ、あっさりと同点に追いついた。

このあたりから再び、リスクマネジメントという要素がピッチ上を徘徊し始める。そもそも同点に追いつかれたセットプレーを与えたことが、危機管理として甘かったと言わざるをえない。相手のキッカーはJリーグ随一、世界レベルの精度を誇る中村俊である。それまでにも何本かあったFKやCKでも、中村俊は図抜けた精度のキックをゴール前に送っている。直接ゴールを狙えるような位置でのFKこそ与えていないが、相手の大きな武器であるセットプレーを簡単に与えてしまったことは、反省点の一つ。そして1−1とされた後の展開でも名古屋はリスクを管理しきれず、痛恨の一撃を喰らうことになる。

同点ゴールを許した後から猛攻に出た名古屋は、硬軟取り合わせた攻撃で次々と横浜FMのゴールに襲い掛かった。66分のCKではトレーニング通りの形であるニアでのバックヘッドに田中マルクス闘莉王が飛び込む形でチャンスを演出すると、71分の藤本のボレーシュート、72分の混戦からの阿部翔平のトリッキーなシュートと矢継ぎ早に決定機を生み出した。だが勢いに乗って奪った73分のFKをGK榎本哲也にキャッチされた瞬間、攻勢の時間帯に生まれた隙を突かれてしまう。榎本のスローを受けた小林祐三がドリブルでハーフラインを突破し、ボールキープから大きく逆サイドに展開。これを見事なトラップで収めたマルキーニョスが冷静に中央へパスを送ると、ニアに走りこんだ齋藤にDF3人が食いついてしまい、ファーでフリーとなった兵藤に難なく流し込まれた。「何であそこまで持っていかれる? プレーを1回止めればいいじゃん」と闘莉王が嘆いた一連の流れは、相手のチャンスをどこで潰すかというプレーマネジメントを誤った末路だった。

名古屋はさらに弱り目に祟り目。89分、ダニルソンのスルーパスに抜け出した玉田が倒されPKを獲得するも、本来のキッカーであるケネディに代わってキッカーを志願した玉田がよもやの失敗。PK判定について樋口監督が抗議したために、蹴ったのがアディショナルタイム突入後の90+2分だったことも災いし、名古屋にこれ以上の反撃の機会は与えられなかった。先制しての1−2の逆転負け。サポーターは不甲斐ない敗北に対し、ブーイングではなく無言でその態度を表明。5戦ぶりの勝利で2位の座をキープした横浜FMのサポーターたちが歓喜の歌声を響かせる中、名古屋はリーグ3連敗で14位へと後退した。

リスクマネジメントが勝負を分けたこの一戦、振り返れば名古屋は常に横浜FMの想定内で戦っていた印象が強くなる。前半の攻勢も樋口監督は「ゲームプランとしては前半は0−0でOK。勝負所、ゲームを動かすところで(齋藤)学をどう使うか、あるいはシステムを変えるのかを考えていたので、前半はああいう流れになると思っていた」と話し、後半の押し込んだ時間帯も「あの低い位置からクロスがいくら上がっても、名古屋が高くてもウチの高さならピンチにはならないと思って気にしてなかったです」(小林祐)となる。名古屋にしてみれば前節同様に決定機を決めていれば、ということになるのだが、その威力を増すためにも後顧の憂いはなくさなければいけない。「これじゃ安心してセットプレーに上がれないよ!」と言う闘莉王の言葉は、自慢の武器が諸刃の剣になってしまっていることを示している。攻撃のリスクを負うために、守備のリスクを管理する。名古屋のやるべきことは明確である。試合内容の向上にはひとまず目途がたっただけに、正確なアプローチで課題克服に取り組みたいところだ。

以上

2013.05.12 Reported by 今井雄一朗
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