J1復帰という当面の目標を果たした福岡だが、それは「新生アビスパ」の序章が終わっただけに過ぎない。何かを成し遂げた結果のJ1復帰ではなく、これから何かを始めるためのJ1復帰と表現するのが正しいだろう。ようやくたどり着いた抜本的なクラブ改革を推し進めるためのスタートライン。そうした意識を、フロント、現場スタッフ、選手、そしてサポーター、市民、さらにはメディアまでもが共通認識として持つことが求められる。
![]() |
| 昇格を決めた11/23には、20,841人のサポーターが集まった |
また、厳しいJ1の舞台を戦い抜くには、ホームゲームでいかに有利に試合を進められるかが最大のポイント。そのためには、どんなときでもスタンドが一体となってチームを後押しすることが必要不可欠になる。熱い声援で知られる博多の森球技場だが、残念ながら、スタンド全体が一体となってチームを後押しする雰囲気が生まれる試合はまだまだ少ない。それをどうやって作り出していくか。それはクラブとサポーターの大きな宿題でもある。
そしてメディアとの協調も欠かせない。現状では、福岡市内で発信されるサッカー情報は多いとは言えない。サッカーというスポーツは、チームの力だけではなく、それにかかわる全ての人たちの力の総和で勝負が決まる。そういう意味では、ホームタウンの関心の高さが勝負を決めるといっても過言ではないが、そのためにメディアの協力は欠かせない。
やることは山ほどある。ここからがスタートだということを全ての人が肝に銘じたい。
■「Climb to the top」
チームの強化と平行して最大限の力を注がなければいけないのが、福岡を地域に密着したクラブとして育て上げることだ。「福岡ではプロ野球・ソフトバンクホークスがいちばん」「福岡の人は勝たなければ見に来ない」。福岡に住む人たちは挨拶代わりのようにこの言葉を交わすが、福岡は野球だけの町でも敗者に冷たい町でもない。むしろ、どんなときでも温かくあらゆる文化を受け入れ、地元を代表して頑張っている人たちを心から応援してくれる町だ。
![]() |
| 博多の森球技場に続く沿道には、昨年からアビスパのロゴ入り「のぼり」が掲出されている |
現在、陣頭指揮を執って福岡の地域密着を図っているのは、昨年の4月に代表取締役専務に就任した池下雄規。従来から福岡市と提携して行っていた普及活動を更に活発化させることに加え、昨年は、博多の森球技場に続く沿道に福岡のバナーやのぼりを掲出し、ホームゲーム開催日には市役所前広場にフラッグを掲揚している。
J1復帰が秒読み段階になったシーズン終盤には、商店街や地元企業の協力を取り様々な応援企画を実行。37節の九州ダービー、J1復帰を決めた42節には、J2になってから初めて20,000人を超える観客動員に成功した。過去、博多の森球技場に20,000人以上の観客が集まったのは2004年のJ1・J2入れ替え戦を含めて4度。地域住民の関心は間違いなく高まっている。この勢いを本物に出来るかどうか。ある意味では、それが福岡の将来を決定するといっても過言ではないかもしれない。
さて、福岡は今シーズンのスローガンを「Climb to the top 〜闘う集団 競い合うチームづくり」にすることを発表した。全員がチャレンジ精神を忘れずに、チームとしてより高い目標に向かって切磋琢磨しながら、一歩ずつ登りつめていこうという思いを込めたものだ。その道のりは険しく、長いものかもしれない。しかし、前を向いて進む限り、必ずゴールにたどり着く。目の前の障害をひとつずつクリアしながら、クラブにかかわる全ての人が一丸となって、福岡は新しい挑戦を開始する。(文中敬称略)
◆アビスパ福岡:新たなスタートの始まり(1)は【こちら】
◆アビスパ福岡:池下雄規 代表取締役専務インタビューは【こちら】
以上
Reported by 中倉一志














