9月20日(土) 2008 J2リーグ戦 第36節
鳥栖 1 - 2 熊本 (15:04/ベアスタ/21,029人)
得点者:30' 廣瀬浩二(鳥栖)、43' 中山悟志(熊本)、68' 木島良輔(熊本)
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馬が跳ねた。今年最後となる九州ダービー、2万人を超えた観客の前で、熊本が7試合ぶり、そして対鳥栖戦初となる勝利を逆転で飾った。
前節までの[4-1-4-1]からシステムを[4-4-2]に戻して臨んだ熊本は、トップ下に位置する宮崎大志郎、左右の吉井孝輔、山本翔平の3人のMFが流動的に動き、鳥栖の中盤にプレッシャーをかける。それでも、高橋義希や廣瀬浩二らのドリブルでの侵入を許したり、これまでにも見られたような“遅れて入って来る”選手への対応が甘かったりと、危ないシーンもたびたび。河端和哉と矢野大輔のセンターバック・コンビが際どいところで身体を張って跳ね返していたとはいえ、ちょっとしたミスからピンチを招き、鳥栖のフィニッシュの甘さやミスに助けられていた感もある。
そして30分、まさしく案の定、という形で先制を許す。ドリブルでバイタルエリアに入って来た鳥栖の高橋にマークが引っ張られ、後ろから入って来た廣瀬をフリーに。高橋からのパスを受けた廣瀬は、落ち着いてゴール左隅に流し込んだ。
「2点目をやると厳しい。前がかりになるんではなくて、しっかりと耐えるところは耐えないといけない」と選手たちが話していたように、この後がポイントだった。熊本は、失点する前からアンカーの喜名哲裕がボールを落ち着かせて左右へ展開し、両サイドバックも高い位置を取ってサイドからのクロスでチャンスを作っていた。鳥栖のディフェンスが2ラインを作って対応していたことで、ボールを持ってからのプレッシャーも比較的緩かったが、決して持ちすぎることなく少ないタッチでボールを動かし、流れを作れていたことが、その後も慌てずに試合を運べた要因のひとつであったように思われる。
果たして43分、河端からのフリーキックを高橋泰が競って落とし、中山悟志が決めて同点。「ユタカ(高橋)が競り勝てているチームとは、比較的いい試合ができている。今日も8割ぐらいは競り勝っていたと思う」と池谷友良監督は試合後に話したが、高橋が2、3人のマークを引きつけ、周りを使う働きをしていたことも大きい。
後半に入ると、昇格戦線に踏み止まる上では勝点3がどうしても必要な鳥栖が徐々に流れを引き戻す。3分、鐵戸裕史からのスルーパスを受けた清水康也がシュートを放ったのを皮切りに、立て続けにチャンスを迎える。熊本のDF陣も最後の局面ではどうにか踏ん張ってはいたが、追い越して来る動きへの対応は前半同様にルーズで、いつ失点してもおかしくない展開ではあった。だが、「とにかく今日は思い切って出ることを意識した」と話した通り、前節ミスがらみで4失点を食らったルーキーGKの吉田智志の積極的なセービングで耐えていた。
「中山と木島を代えるのは最初からあるプランで、あとはどのタイミングで入れるかだった」という池谷監督が63分にそのプランを実行に移すと、5分後、その木島良輔が期待に応える仕事を果たす。
センターサークル付近で自らファウルを受けた後の素早いリスタートから右サイドに開いた宮崎へ。宮崎のクロスに対して、鳥栖の廣瀬が足を伸ばしたが、これが中途半端なクリアとなって木島の前に転がった。距離的にはおそらくギリギリのボール。だが「短い距離なら俺の方が早い」と、直感で思い切ってシュートを選択した木島の右足が先に触れ、ボールはゴール左隅に吸い込まれた。
残り時間は約20分。当然、鳥栖は攻めに出る。76分には藤田祥史からのパスに反応した廣瀬と長谷川豊喜がゴール前に顔を出し、82分には船谷圭祐のクロスに清水が飛び込む。84分には、廣瀬に代わりピッチに入った、熊本GK吉田の先輩にあたる栗山裕貴がシュートを放つ。86分にも栗山が仕掛ける。しかし、いずれのシーンでも、熊本の守備陣は耐えた。
4thレフリーが掲げたボードに表示されたアディショナルタイムは3分。熊本ゴール裏に、ホームゲームの時よりも多いんじゃないかと思われるほどに集結したサポーターたちが歌う「ロッソと共に」(改称以前から歌われているため、チーム名はあえて“ロッソ”のまま)のチャントも、たぶん残り3分という時間の流れを少しでも早くしたいという気持ちの現れからだろう、メトロノームがあったら“ピッチが合ってない!”と言われそうなくらい、いつもより早くなっていた。
そして迎えたタイムアップ。7試合ぶりの逆転での勝利は、鳥栖との対戦成績を五分に持ち込むだけでなく、昇格のために勝たなければいけなかった九州の先輩に大きなダメージを与えるもの。ホイッスルが鳴った瞬間に全員がピッチに倒れ込んだ鳥栖の選手たちを見たとき、久々に勝利を目にすることができた安堵と同時に、身近なチームの昇格の可能性が極めて低くなったことへの悲しさがこみ上げてきたのも本当だ。今年から加えられた九州ダービーの新しいカードに、確実に、両チーム間の因縁が記された一戦だったと言えるだろう。
内容的には、良かった点もあったがまだまだミスもあり、改善すべき部分は多く、残り試合でどれだけ修正できるかが、最終的な順位にはもちろん、来シーズンにも影響する。だが今日はひとまず、7試合ぶりの勝利を喜びたい。
ところで、この試合をベストアメニティスタジアムで観戦した観客は21,029人と、鳥栖のクラブ&スタジアム史上最高の数字を記録した。こんな素晴らしい雰囲気の中で試合を見ることができた幸せを、ぜひ地元でも味わいたい。今日のヒーローとなった木島は、ミックスゾーンでのインタビューでこう言った。
「熊本でお客さんが増えないのは、試合で勝ててない自分たちに原因がある。“また次も見に来たいね”と思って帰ってもらえるような試合をやるだけ」。3日後に迎える次節の横浜FC戦(9/23@熊本)が、その舞台となる。
以上
2008.09.20 Reported by 井芹貴志
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